鎮西学園は鎮西高校と真和中学校・高校があり、鎮西高校が今年で創立136年、真和中学・高校が創立64年を迎えました。仏教精神を根幹に、生徒一人ひとりの個性を大切に、温かい心、優しい心を養います。
鎮西高校では、科目選択制を取り入れています。スポーツ科目では、選手育成に高い実績を持つ指導者のもと、トップアスリートを育成。最近、学園内にビーチバレーコートを整備しました。駅伝部の復活にも取り組んでいます。また、パリオリンピックバレーボールで卒業生の宮浦建人選手が活躍してくれました。ダンス科目では、輝く表現力を育成し、パフォーマンスの技術だけではなく、礼儀作法やダンスとの向き合い方なども学んでいます。九州大会、全国大会で多くの入賞を果たし、熊本県支援のもとで韓国の高校を相互に訪問し、地域のイベントにも参加。生徒自ら韓国語で挨拶するなど国際交流にも貢献しました。こうした活動を通じて、生徒たちは達成感を感じ成長につなげています。グラフィック科目では、実践的なスキルを学び、アイデアを形にし、授業を通して、主体性や表現力を学んでいます。プロが使用する機材やアプリケーションで制作活動を進め、学内のポスター制作をはじめ、企業のアートスペースでも作品発表をしています。進学・就職科目では、生徒一人ひとりの進路実現を目指し、基礎から応用まで個に応じたきめ細やかな指導に取り組んでいます。進学実績も令和6年度は熊本県立大学の合格者が増えました。早稲田、同志社大学など私立有名大学にも進学しています。
真和中学・高校では、「和」を重んずる豊かな人間性と、「真」を追求する向学心を併せ持つ人材の育成を目指しています。卒業生が少数にもかかわらず、東大、東工大に現役で合格するなど国立大学に57人、早稲田、慶応、東京理科大に12人、関西、関西学院、同志社、立命館に35人、特に医学部医学科、歯学部、薬学部については72人の合格実績をあげています。卒業生は、医療関係に加え、弁護士などの各種士業の分野で活躍しており、さまざまな分野で活躍する卒業生と懇談する「夢リレー」を実施しました。医学系への進学希望者向けには、医学系学部体験の機会を設けています。今年の学園創立記念の講演会では北里柴三郎先生の曾孫にあたる北里英郎先生を招き、北里柴三郎先生の人柄や医学の研究実績について学びました。
また、浄土宗と浄土宗教育振興会の共催で令和6年10月に開かれた「浄土宗開宗850年記念 浄土宗宗立門校合同音楽法要」においては、全国の宗立宗門校の中から3校だけが選ばれて発表する場において、3校中2校に鎮西高校と真和高校がともに選ばれました。大変名誉に感じています。
今の学びは必ず将来に役立つ
―学生時代・若い頃の、今に活きる「学び」を教えてください。
私は中学校に入る前までは勉強はほとんどしていませんでした。中学校入学時に成績が悪く、ショックを受け、それから一念発起して寝る間を惜しんで勉強した時期がありました。その成果もあって、約370人中10番内に入ることができました。今を振り返るとあの時の努力が、成功体験となり、その後の勉強への意欲につながり、勉強を通じた友だちもたくさんできました。 高校では勉強はもちろんのこと、空手道を道場で、吹奏楽を部活動で励みました。自分の人生で活動したことが今も役に立っています。空手道では先輩から忍耐の限度を超えるほど鍛えられ、これ以上に怖いものはないと思い、それが自信へとつながりました。その後、約40年間空手を続け、日本体育協会上級空手道指導員や空手道場の館長を務めるなど体力づくりにもなり、多くのことを学ばせていただきました。 吹奏楽での経験は、今でも趣味で楽器(クラリネット)を演奏しており、クラシックの音色に魅了され、練習を楽しんでいます。人生に潤いを与えてくれています。 大学時代は英語の必要性も感じ、英会話研究会(ESS)に所属し、暗唱大会、弁論大会、パブリックディスカッションにも参加し、今でも時間があれば英語に親しんでいます。 生徒の皆さんにも今学んでいることは、必ず将来に役立つと信じてさまざまなことに励んでもらいたいと思います。若い時に色々なことを学ぶチャンスがあります。それらを通して人間力を自分のなかに育て、人生を生き抜く力にしてほしいと思います。
―若者へメッセージをお願いします。
毎日、熊本日日新聞をはじめほかに全国の新聞を多数読みます。世界のこと、日本の政治のこと、教育のこと、環境問題のこと、ICT問題など関心の記事に目を通します。これから生徒の皆さんの生きていく世界は、激動の時代となります。しっかり学問し、体力を養って生き抜く力を付けてほしいと思います。
※インタビュー/2024年12月18日取材