T1park記者
言われたことをこなすだけではいけないということですね。 豊田 私の考えですが、どんなに体力的にきつい練習を何本やってもただそれだけでは強くはならない。地稽古という審判のいない試合形式の練習がありますが私はそれが一番大きく差がつく練習だと思っています。地稽古自体は小学生でもやりますし、3時間の練習をやっている高校なんてどこにでもあると思いますが、ここの意識の違いが勝負を分けるような気がします。 稽古の中で覚えていくことは沢山ありますがどうすれば勝てるだろう、どうすれば当たるだろうということをどれだけ考え工夫していくか、そのひらめきも大事ですね。こうしたらどうか、ダメならばこっちはどうか、ということを考えられないといけない。馬鹿でいてはだめなんですよ。頭を使うことが大事です。 |
T1park記者
剣道を通し生徒に伝えたいことは。 豊田 「気づき」、「気配り」 の力を養ってほしい。たとえば保護者の方が来られている時なにか作業されているようであれば手伝いにいったり、重い荷物を持っておられる方がいれば荷物を取りに行ったりとかですね。剣道でも相手のどこに隙があるかということに気づかないといけないので普段から意識し実践できるよう指導しています。 伸びる子というのは同じものを見ていても受取り方が違います。ハイレベルな剣道の試合を見た時にただ、強いなぁ、と漠然と見ている人とどうやって打っているんだろうと考えながら見る人では全然違う。 また、指導を受けた場合でもどれだけ我々の言葉を受け止められるか。その受け止め方が大きいなということも感じました。昨年全国優勝した大井という生徒はどんな些細な事でも私の言葉を絶対に聞き逃しませんでした。彼女は高知県から来ていたので熊本の方言がまったく分からない。言葉が分からないからこそ理解しようと必死に聞いていたのかもしれません。私自身でも覚えていないようなことを覚えていて驚きました。彼女を見ていていかに真剣に言葉を受け止めるかの大事さを改めて感じました。 |
T1park記者
若者へのメッセージをお願いします。 豊田 生徒には今ここで剣道ができるのは幸せなことなんだということを日頃からよく言っています。うちは熊本市内から離れているためほとんどの子が寮生活をしています。親元を離れ生活をするので1年生のゴールデンウィーク頃までホームシックにかかる子も多いし、自分のことは自分でやらないといけません。私自身振り返ってみて大変でしたが、これがうちのチームを精神的に強くしてくれるひとつの要因ではないかなと思っています。 しかし本人達も大変ですが、寮に入るにも遠征に行くにもお金が必要。両親の理解と支援によって支えられていることは忘れてはいけません。ここに来たくても来ることができなかった子たちもいます。練習がきついとかやりたくないとか言っている暇はありません。親への感謝を常に忘れず自分を律しながら頑張ってほしいですね。 T1park記者 ありがとうございました。 |