今後で言いますと、大きいのは来年1月の春高バレー。変わることのない目標「日本一」のために、春高優勝を目指して練習をしているところです。もちろんまずは県優勝ですね、熊本の強豪はどこも全国レベルですから。
何が自分の壁になっているか
乗り越えるにはどうすれば良いか
―部の特徴を教えてください。
堤
全体的に明るいですね。もともとそういう選手たちというのもありますが、私が堅い雰囲気を好まないからというのもあります。同時に、非常に真面目な子が多いです。私ももちろんバレーをしていたわけですが、自分の高校時代に比べると本当に偉いなと思いますよ、誰も見ていない時でもちゃんと練習を続けている(笑)。
プレーで言うと、第一にはレシーブ力の高さですね。バレーはとにかく、ボールを拾う限り簡単には負けませんから、チームの武器として今後も磨きをかけていきたいところです。次にスピード、プレー展開の速さ。ここを重視するのは信愛の伝統であり、選手たちも自覚しています。レシーブ力同様この点も、全国上位チームと比べても負けていないと思っています。
反対に短所を言うと、プレッシャーに弱いところでしょうか。弱いというか、かつては自分たちがプレッシャーを感じていることに気づいていない、だから乗り越え方もわからないという状況でした。そのため技術は上がっているのに、試合では思うように力を発揮できない。ですから選手1人ひとりと面談して、何が自分の壁になっていると思うか、その壁を乗り越えるためにどうすれば良いのかなど、一緒に考えたりしました。そういったことを経て、今は数年前に比べるとみんな、メンタルが強くなったなと思います。今後も短所を改善していき、それによって長所をより活かせるチームにしていきたいですね。
なお選手のメンタルについて述べましたが、実は私自身、監督になったばかりの頃はかなりプレッシャーを感じていました。自分の指導法に疑問を持ったことも、もちろんあります。ですが今回、日本一は叶わなかったものの県王者奪還という結果を出せて、自信がついてきました。これは選手の頑張りはもちろん、総監督である松本先生によるところも凄く大きいですね。たとえば私のように男性が女子を指導するとなると、デリケートな難しい部分もいろいろと出てきます。そうしたことへの対応など、経験豊富で観察力の優れた松本先生から多くの有益な教えを頂き、本当に助かりました。
堤
「凡事徹底」でしょうか。当たり前のことを当たり前にやること、他の人がやらないぐらい徹底的にやること。それがいかに大切なものか、時を経る程に感じています。
人生においても大事ですし、バレーボールにおいてもそう。基本的な当たり前のことをしっかりやっている、できているチームって本当に強いですよ。逆にそうでないチームは、小手先の技に頼るしかないので素人目には華やかに見えたとしても、本当の強豪には敵わないんですね。ですからチームとしてもいち監督としても、凡事徹底を実行できるよう努めたいと思っています。
―若者へメッセージをお願いします。
堤
自分の意思を持っていないというか、そもそも自分が何をしたいのか、どうしたいのかがわからない。そんな子が増えているように感じます。そして何か壁にぶつかると、すぐ逃げ出そうとする。
私自身を振り返っても、辛さや大変さに思い切って向き合った時こそ、自分の本当の意思、何をどうしたいのかを自覚できたと思います。ですからその時は辛いことでも簡単に逃げ出すのではなく、しっかり向き合って自分の意思、「自分というもの」を形成して欲しいです。また、バレーボールでも何でも「できる環境を当たり前」と思うのではなく、それがいかに恵まれたことか、周りに感謝する気持ちを持って欲しい。そうして将来、強い意思と謙虚さを兼ね備えた、素敵な社会人になってくれることを願います。