T1 park 記者
壺溪塾の近況は。 木庭 坪井本校、水前寺校ともに、校舎一杯に塾生が集い活況を呈しています。これは、1930年創設当初から「単に合格するだけではなく、高い知性と美しい人間像の完成を目指す」という理念を大切にしながら、新しいシステムを取り入れつつ、職員一同頑張ってきた成果だと自負しています。 T1 park 記者 塾長が若い時に経験されたことで、役に立ったことは。 木庭 大学卒業後に熊本放送報道部に勤務し、レポーターを9年間勤めていましたが、その時の経験が仕事の原点です。当時、優秀なデスク(記事の責任者)に厳しく鍛えられました。原稿がうまく書けなくて悔し涙を流した時もありましたが、発表記事に頼らずにネタを「足で稼いで」探すことや問題意識を持つことの大切さを叩き込まれました。 |
T1 park 記者
どんな高校時代を。 木庭 文学少女でした。「九女」には、中学から高校までお世話になりましたが、図書館で沢山の本に触れました。漱石、鴎外、太宰、三島などなど。特に芥川龍之介の簡潔な文体に惹かれ、全巻読破しました。大学では、芥川研究の大家の高田瑞穂先生のゼミに入り、卒論も芥川を選びました。 情報収集には様々な手段がありますが、活字はそのベースです。特に本は著者が膨大な情報を著者ならではの視点で1冊にぎゅっと閉じ込めたものなので、映像やインターネット以上に情報価値の高いものだと思います。 T1 park 記者 教育者としての価値観の原点は。 木庭 私はクリスチャンではありませんが、九州女学院で出会った聖書の「愛の教え」が生き方の原点になっています。新約聖書中の聖パウロの書簡、コリント人への第二の手紙に「愛は寛容であり、情け深い、恨むことをしない」という一節があります。この教えは、まさに「言うは易く行なうは難し」です。私もなかなか難しいのですが、マザーテレサみたいな愛を体現できる人になるため一生努力を続けていきたいと思っています。 |
T1 park 記者
塾長の座右の銘は。 木庭 プラス思考(positive thinking)です。失敗した時や不幸な目に遭った時、ものすごく落ち込むのは皆さん一緒です。私もそうですが、ただ落ち込んでいては、前に進めません。 そんな時こそ、父である理事長の木庭令一が孟子の言葉を引用してよく言いますが、「私はこんな辛いことに耐えられるから天に選ばれたんだ。何くそ!(孟子曰く、天のまさに大任をこの人に降ろさんとするや、必ずその心志を苦しめ、その筋骨を労せしめ、その体膚を鍛えしめ、その身を空乏にし、そのなさんとする所に払乱せしむ)」と思うことが大切です。 奮起して努力すれば、失敗したからこそ思っても見なかった次のステージに飛躍できる場合もあるでしょう。例えマイナスのことでも起こったことをプラスに考え直し努力を続けると、どんどん上手くいくようになってくるというのがこれまで生きてきた中で得た人生観です。 |
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若者への応援メッセージを。 木庭 人間誰でも失敗します。大事なのは、なるべく失敗しないでおこうと用心深くなることではなく、失敗を恐れず、果敢に挑戦して、万一失敗した時は、その失敗をしっかり受け止めて次に活かすことです。 「“good loser”になろう!」と言ったのは、ソウルオリンピック100m背泳でオリンピックチャンピオンに輝いた鈴木大地さんです。“good loser”とは、「優れた敗者」という意味です。人間は失敗した時に失敗から学び、それを逆に原動力にして努力することで、後々、むしろ勝者よりもずっと進歩できるのだと思います。今は、若者が失敗を恐れ、大学受験でも、行ける大学で妥協し、浪人を避ける風潮があります。しかし、浪人生と日常を共にしていると、若い時の失敗はむしろ人生の糧となるものだと強く感じます。 若い方の中で、今、何もかも上手くいかないで悩んでいる方は、「失敗した時、辛い時が勝負の時なんだ!」と奮起し、頭を上げて一歩一歩前に進んで行きましょう。 T1 park 記者 ありがとうございました。
Writer M.Ujino
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