以上のように文武はもちろん、芸術系の教育においても高い実績を挙げているのが、近年における本校の特長だと思っています。
語学の習得はちろんですが、それ以上にグローバルな視野を広げて欲しい、多様な価値観やコミュニケーションスキルを育んで欲しいという狙いがあるわけです。ですから世界各国を見てきた方だったり、何か貴重な凄い体験を経た方の講義・講演など出来ればとも考えています。
勉強よりスポーツより
「人の痛みがわかる人」に
―貴校での生活を通して、学生に身につけて欲しいことは。
内村
本校の初代院長、エカード先生が残した「感恩奉仕(神の愛と恵みに感謝し、神と人とに仕える者となる)」の精神を身につけ、何より「人の痛みがわかる人」になって欲しいですね。
キリスト教をバックボーンとする本校に相応しく、他人の痛みを自分の痛みのように感じ取れる人になり、周囲に信頼され社会を支える、有益な人物に育って欲しい。言い換えれば、勉強やスポーツにどれほど優れようと、これが出来ていなくては人として、まだまだであると思っています。
どんな試練にも逃げず
誠意を尽くし向き合おう ―学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。 内村 学生時代は、個性的な同級生や先生方に多数恵まれました。たとえば中学校では、後に熊本県立美術館の副館長となられた、美術の坂田燦(あきら)先生。自分の好きないろんな角度から描いてごらんと、固定概念にとらわれない教育を授けていただきました。 同志社大学に進学した頃はちょうど学生運動真っ盛りで、クリスチャンの家系ということもあり1年目に洗礼を受けたと共に、講義がほとんどないため友人たちと雑誌を作ったり演劇を上演したりと、自主的な活動に精を出しました。また講義がない分、近くのお店で出会う先生方と直で話したりもしましてね。当時の同志社には矢内原伊作や笠原芳光、鶴見俊輔に田畑忍と著名な方がたくさんいらっしゃって、多くを学ばせていただきました。 |
どんな時でも逃げてはいけない、誠実に真心を尽くして向き合えば、どんなこともいつかは乗り越えることができる…。それは一見関係ないようですが、学生時代の友人たち、先生方との様々な交わりを通して、自然と身についた信念である気がします。
内村
たとえ失敗しても挑戦して欲しい、と思いますね。長い人生、一回の失敗など決して致命的ではないのですから。
ちょうどこの熊本でラグビーワールドカップが開催されていますが、それこそラガーマンのように倒されても倒されても、立ち上がって向かっていく限り負けはない、終わりはないと思うんです。たとえその試合や大会は終わっても次の機会があるわけですから、諦めずに立ち上がる限り本当の意味での戦い、挑戦は終わらないのだと。
ですからまだ若い今のうちにこそ、逃げることなく臆することなく、様々なことにチャレンジして欲しいと思うんです。そしていつか、みなさんの多くが「凛としながらも、大きな花」を咲かせてくれたら嬉しいですね。
Writer T.Iwanaga