ですから私たちも、知識・スキルに加え「人間的な教育」をより充実させていき、様々な現場で充分に、柔軟に対処できる人材を育てていきたいと考えています。なおこれまでも、おかげ様で本学院の卒業生は、多くの現場から高い評価を頂いております。
また、スクールカウンセラーの導入も予定しています。心理学に長けた方の力をお借りし細やかなケアを提供して、挫折する生徒を減らすことが狙いです。これも大きな意味で志望者を増やすことにつながりますが、これまで同様の役割を担ってきた、「専任教員の負担を減らす」意味もあります。
以上のように本学院の入学者はもちろん、「歯科衛生士を目指す方の全体数を増やすこと」、それが自分の任期中、やり遂げたいと考えていることです。なお看護師と同じように男性もなれるようになりました。男子にもどんどん志願、入学して欲しいですね。
歯科衛生士の質が
現場の評判を左右する
― 貴学院での生活を通して、学生に身につけて欲しいことは。
林
歯科衛生士は患者さんのお話に耳を傾けアドバイスさせていただき、歯科助手と違って、自ら口腔健康管理もいたします。実は「歯科医師以上に、患者さんと接する時間が長い仕事」、それが歯科衛生士なんですね。ですから歯科衛生士の質が、その医院や病院の評判を左右することにもつながります。
私は開業医でもあり、転勤族でいろんな地域の歯科を体験してこられたある患者さんから、「最高の歯科医院でした」と言われたことがあります。ですがそれは、私というよりスタッフ、特に歯科衛生士たちが素晴らしかったから。それぐらい、責任も大きいけれどやり甲斐もある仕事なんです。
そんな仕事である以上、繰り返しになりますが知識・スキルはもちろん、高い「人間性」をも身につけて欲しいと思っています。そして患者さんお1人お1人に、それぞれに応じた丁寧なサービスを提供し、現場全体の評判を上げるような人材に育って欲しい。本学院が、1年時に「2泊3日の自衛隊体験入隊」を実施しているのもそれが狙いですね。実際、それが終わる頃にはまるで違っていますよ、生徒たちの言動が。みんな礼儀正しくピシッとなっていますし、チームとしてのまとまりも向上しています。 |
いろんな「人」のおかげで
自分はやっていける
― 学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。
林
私はもともと、しっかりした目標のない子供だったんです。代々歯科医の家系だったから、自分もそうなるのかな、となんとなく思っていたぐらいで。済々黌高校時代も写真部で、自分が頑張るというより、頑張っている運動部の生徒を撮影する側。がむしゃらに頑張るとか、自分を主張するということがないタイプでした。
それが歯科大学を卒業して、大学院で何を専攻するかとなった時、血を見るのが苦手な自分があえて、「それを克服したい」と思ったんですね。そして手術で血を見る機会の多い「口腔外科」に進むことを決めたんです。
やらされるんじゃなく「自分で決めて」やる、そうでないと本当に何かが身についたり、成長したりしないと思うんです。歯科医としてなんとか自分が頑張ってこれた上で、その経験がひとつの転機になったのかなと思います。
また大学時代の先輩たちから、厳しくも優しく可愛がっていただいた経験も、今に活きていますね。後輩の歯科医たちには自分もできるだけ優しくしたいと思っていますし、自分の医院だけでなく、業界全体が良くなることを考えるようになりました。ひいては口腔衛生の改善を通して、国民全体の健康に貢献できればとも思っています。
最後に頑張るべきは
結局、自分自身
― 若者へメッセージをお願いします。
林
やっぱり「自分で決める」、ということ。今どうしたいか、これからどうするか、「自分でこうしたい」と決めてから行動して欲しい、そう思います。それこそが「自分の人生を生きる」ことだと思いますから。
それに資格の勉強でも人間的成長でも、最後に頑張るべきは結局、自分自身。今まで言ってきたことと矛盾するようですが、学校や先生がいくら頑張っても、代わりに勉強したり仕事をしたりしてくれるわけじゃないわけです。自分で決めて、決めたことを自分で頑張る。そうしていつか、素晴らしい人材に育ってくれたらと思います。