T1 park 記者
テレビ熊本の近況を。 河津 4月に発生した熊本地震では、放送局の使命として電波を通じてありのままの現状を伝えることに全社員が必死になって取り組んできました。 事業イベントについては、多くの会場施設が被害を受けましたので場所や時期を変更し、できる限り継続していくように取り組んでいます。特に夏のマーチングフェスティバルは高校生の皆さんにとっては甲子園のような行事となっています。心配していましたが、被災した地域のチームも何とか参加でき、開催に結びつけることができました。良かったと思っています。 放送局として的確な情報を地域の人たちに伝えると共に、事業イベントなどを通じて地域を元気にすることが重要な役割だと考えています。 |
T1 park 記者
仕事をする上で大切にしていることは。 河津 テレビ熊本には「全社一丸となって」という社風があります。というのは震災の時もそうだったのですが、東京をはじめ支社勤務の社員や本社で営業をしている社員の中にも元記者や報道を経験したスタッフがいます。そうした他の部署や地域からのスタッフが震災後に応援に駆けつけてくれたこともあり、全社一丸となって報道を続けることができました。今の自分に出来る事は何かと常に考えながら動いてきました。当社は70数人と少ない人数でやっていますので、報道から営業、営業から報道への異動もあります。そのことが今回の震災ではお互いチームワークを構築する切っ掛けとなり、良い結果につながったと思います。 |
T1 park 記者 若い頃の経験で、今の自分にとって役立っていると思うことは。 河津 子供の頃は小国の造り酒屋に生まれましたので、配達などを手伝っていました。中学校から熊本市内に来ましたが、休み中は実家に戻って家業を手伝っていました。中学・高校では寮生活をしていましたので、6年間の団体生活を通じて人付き合いの基礎を学ぶ良い機会になったと思います。当時の寮は1階の体育館のような広いフロアに2段ベッドが50本ほど並べてありまして、2階が勉強スペースになっていました。それぞれ異なる学年が混ざり合って10人程の班に分かれ、肩を寄せ合って共に生活を送っていました。 また、中学・高校の頃には仏教に触れることができ、校訓である誠(誠実をもって一貫すること)・信(信念を養い明朗なること)・望(希望をもち努力すること)の精神を身に付けることができたように思います。 |
T1 park 記者 高校卒業後は。 河津 実家では酒屋とは別に林業もやっていましたので東京農業大学の林学科に進学しました。大学4年の時は林業試験場と下宿の往復で研究に熱中していました。それから大学を卒業後、林業の道には進まず、テレビ熊本の初代社長を務めていた伯父でもある、河津寅雄の勧めもあり開局から10年目だった当社に入社しました。 一番初めに配属された部署は報道でした。大学時代は林業や木材加工などについて勉強していましたから、カメラの撮り方などまったく習ったこともなく、一から勉強しなければなりませんでした。今思えば大変でした。そこで休みの日はしょっちゅう映画館に通ってアングルやライティングなどカメラの撮り方を勉強していましたね。まだ当時はフィルム撮影しかありませんでしたので上手く撮れたかどうかも分かりませんでした。ポラロイドと16mmのカメラ2台をどこへ行くにも持ち歩いていました。もちろん自宅へ帰る時はいつも持って帰っていました。交通事故や火事など突発的な出来事があれば、寝ていても叩き起こされて現場に向かっていました。 ですから、今の報道の若い社員には自分自身でカメラを回せるようになれと常々言っています。いざという時に例えカメラマンがいなくても、社員の誰もが撮影できるようにしておくことは今も昔も放送局で働く者として大切なことだと思っています。 |
T1 park 記者
若者への応援メッセージを。 河津 若い人達には相手の立場に立って物事を考えることを大切にしてもらいたい。自ら思っていることが自分ではマストだと考えていても、それが相手の立場に立ってみて本当にマストなのか、違うのではないだろうか、と考えてみる過程はとても重要です。これは学生でも社会人でも当てはまることで、自分たちが取材や番組制作、営業などをする時でも同じように大切だと思います。何をする場合でも自分の思い込みだけで話したり、お願いしたりすることもあるかと思いますが、相手の立場に立って相手がどういうふうに感じるのだろうかと日頃から頭の片隅にでも良いので置いてみて下さい。それだけで人間関係が意外に上手く回るようになると思います。そして、自分の思っていることが本当に100%正しいのだろうかともう一度相手の立場で考えてみることは、もしかすると異なった素晴らしい答えを発見できるチャンスになるかもしれません。 T1 park 記者 ありがとうございました。 |