【プロフィール】 1969(昭和44)年生まれ、熊本市出身。 熊本高校―熊本大学教育学部卒。 中学、高校、大学と伝統派空手を続け、 その後、実践空手(正道会館)、総合格闘技などでキャリアを重ね現在の指導の礎を築く。 熊本工業高校繊維工業科で1年間教鞭をとり、 九州学院に赴任。副顧問を経て、3年後に部長に就任し、2004年から監督兼任。数学教師。 若者へのメッセージ 「目標と達成のプロセスを明確に」T1 park 記者 県高校総体団体組手男女優勝おめでとうございます。大会を振り返っていかがですか。 日吉監督 ありがとうございます。決勝リーグに上がる所からきちんとシミュレーションし、照準を合わせたいい準備ができたと思います。特に男子は万全の準備で臨みました。 県内上位校は実力者ばかりなので、相手の戦い方を知り尽くして対策や戦略を練り、かつそれをしっかり実行できるかどうかがカギです。あとはメンタルですね。 本番で力を発揮するには平常心。平常心の「常」は日常生活の「常」です。空手の練習以外でも生活リズムを変えないことを徹底しました。 |
T1 park 記者 日頃からメンタルトレーニングで力を入れていることはありますか。 日吉監督 1番時間を費やすのが日誌です。うちでは飛耳長目録(ひじちょうもくろく)と言っています。心に常にアンテナを張って情報を仕入れ、それを空手道に置き換えてまとめるという小論文のようなものです。これを365日毎日続けます。 帰宅して入浴と食事を済ませ日誌をつけてから勉強して寝る、もう爆睡ですよ。笑 引退する頃には平均で1人7~8冊になりますね。空手の練習以上にきびしく指導しますので生徒も必死になって取り組みます。ですからそうは崩れないですね。 T1 park 記者 日誌をつけることは空手に役立っていますか。 日吉監督 ものすごく生かされます。「気づく」力を鍛え、感性が高まっていますので試合でも相手の表情や緊張感を子供達が自ら感じ取れています。3年生のちょうどこの時期、総体で非常に役に立ちます。 生徒達も卒業した後1年生の時のノートを見返して自分の成長に気づいたり、入試や大学生活などで評価されたりとその時になって役に立ったんだなと実感しているようです。あとは親御さんも子供の成長に驚かれますね。 |
本校の男子空手道部はおよそ60年の伝統と歴史があり、女子が創部3年目で団体優勝できたのも男子の長い歴史の上に成り立ったものだと感じています。それからおそらくどの競技でも一緒だと思うのですが、練習の成果をここ一番で発揮するには平常心です。それと感性。感性から導かれる技というか本番では考えて動いていたらいけませんので、感じたら即座に反応し、自分でも「あれ、こんなことやってたんだっけ」くらいの反応ですね。
日吉監督 「惻隠の心」、これに尽きます。「仁」という言葉で表現されたり、本校はキリスト教ですので「愛」という表現を使われますけども武道で言うと惻隠の情と言います。強さというのは使い方次第では人を傷つけてしまうことになります。 痛みを伴う競技だからこそ、また相手を打ちのめす以上やらなければいけないのは、相手への「思いやりの気持ち」や「いたわりの気持ち」を持つこと。そういうものを大切にしてもらいたいですね。 うちは試合で勝っても過度な喜びは禁止しています。負けた方の気持ちを考えて、対戦相手を敬って礼をした後に、すべて終わってしまって盛り上がるようにしています。逆に負けた時の態度もめちゃくちゃやかましく言っています。 |