秦 すみ子 尚絅中学高等学校 校長 【プロフィール】 1958年11月1日生まれ。60歳。大分県出身。 明星中学高等学校-尚絅大学文学部英文学科卒。Institute of International Diploma in Teaching Japanese Course Education in London 修了。1981年~2002年明星中学高等学校教諭(英語)、2003年~2004年Regent’s College Japanese Course, Croydon High school in London 非常勤講師、2006年~2013年明豊中学高等学校教諭。 2013年尚絅中学高等学校教諭に赴任。高校部長、教頭を経て2018年4月より尚絅中学・高等学校校長。 失敗は通過点 恐れず困難に立ち向かおう |
また部活動では陸上部、ソフトテニス部が全国総体に出場。特に陸上部は昨年、女子個人5000M競歩でインターハイ優勝に輝きました。他にも剣道部、弓道部、卓球部、水泳部なども各種大会で活躍しています。文化系でも、かつて昭和天皇の御前で演奏したこともあるギター・マンドリン部や将棋部などが、全国総文祭に出場しています。また和装礼法部は、『全日本きもの装いコンテスト世界大会』において学校対抗の部で4年連続優勝。今年、5連覇を目指しているところです。
学生の本文である勉学はもちろん、部活動や生徒会活動、ボランテイア活動等、幅広い分野で着実に実績を重ねていると思っています。さらに『吹奏楽部』や『百人一首部』を昨年創部し、生徒が活動できる幅を広げているところです。
自分をひけらかさない 本当の強さを身につけて ―貴校での生活を通して、学生に身につけて欲しいことは。 それはもう、本校の教育理念であり校名でもある「尚絅」、それに尽きます。 「尚絅」という言葉は中国古典『中庸』の一節、「衣錦尚絅(錦を衣て絅を尚ふ)」に由来します。錦を着た場合はその上から薄物をかけ、きらびやかな模様を表に出さないようにするという、君子の道を説いた句です。つまり、「表面を飾らず内面の充実に努める」という、人としての心構え、あり方が込められています。 ですから文武における実力を身につけて欲しいのはもちろんですが、その力をひけらかすことなく、社会に出ても、常に謙虚に陰で支える慎ましさ、奥ゆかしさ…そういった目立たないからこそひたむきに取り組む、揺るがない本当の意味での強さ、人間性こそを身につけて欲しいと思っています。生徒だけでなく職員にも大切にして欲しいと説いていますし、もちろん私自身も大事にしている理念です。 |
苦手も乗り切ることができる
―学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。
高校時代、生徒会長に立候補して、全校生徒の前で挨拶をする機会がたくさんありました。でもそれは、人前で話をすることが苦手だったから。だからこそ「克服したい」と人前で話す機会の多い生徒会長に立候補し、いつも時間をかけて挨拶やスピーチの練習をしていました。
その甲斐あってか晴れて生徒会長となったある日のこと、挨拶本番で準備していた原稿を片手に演台に上がると、なんとその原稿は、白紙。外側の台紙だけを確認し中に入っている原稿を確認していなかったんです(笑)。一瞬、頭が真っ白になりましたが、とにかく何度も練習したものだからちゃんと覚えているはず・・・と思い、気を取り直して、最後まで間違うことなく無事に終えることができました。
苦手なことでも想定外のことが起きても、準備をしっかりしておけば、たいていのことは乗り切ることができる。そして、大変な時こそ涼しい顔で過ごすことができるようにならなければ・・・そんなことを学んだような気がします。教師になり校長になり、ますます人前で話すことが多くなりましたが、今でも人前で話をする時には、必ず準備を万全にしてからステージに上がります。
正論を胸に理想へと努力を
―若者へメッセージをお願いします。
男女問わず近年、無難なことを選ぶ若者が多いと感じます。これは私たち大人の責任でもあると思いますが、学生のうちから、大人のように保守的であるのはもったいないですよ。自分の器を自分で小さくしてしまうと思います。
社会に出れば、もちろん理不尽なことがいっぱいあります。でも、だからこそ学生のうちは正論を貫いて欲しいと思うんです。正論が良しとされるのって、それこそ学生の間だけ。ですから正論を胸に困難な理想へ向けて、懸命に努力して欲しい。エネルギーに溢れた若い今なら、そんな頑張りが必ず、自分の器を大きくしてくれるはずです。