かつて担当し、百貨店一店舗での売上日本一を達成したランドセルコーナーで。 | 苦しい中でも起死回生を図り 業界平均では頑張っている ― 貴社の近況を教えて下さい。 福岡 百貨店全般に言えることですが、新型コロナの影響でやはり、非常に厳しい状況です。昨年度の売上高は前年比78%、全国平均や九州の平均と比べれば頑張っている方ですが、ほぼ全ての百貨店と同様、残念ながら赤字決算となってしまいました。 今年は今のところ、前年比113%と増収してはいます。それでも一昨年と比べれば、まだまだ回復とは言えない状態ですね。百貨店って「ハレの日ビジネス」って言うでしょう。休日だったり記念日だったり、そうした日に街へ出て着飾るために、鶴屋のようなお店へ来てくださり、服飾品など |
熊本の街をより魅力的にし
多くの人で溢れる場所に
― 今後、力を入れていきたいことは。
福岡
鶴屋の減収はコロナだけでなく、ここ数年で競合、つまり大型商業施設が近隣に増えたこともその要因と言えます。一方で街の魅力が増すという意味で言うと、むしろそれは歓迎すべきこととも思うんですね。特にオンラインで何でも買えるようになった今、まずは多くの方に街へ出て来てもらうことが一番大切です。ですから長年一緒にやってきた下通・上通のお店の方々はもちろん、そうした他の商業施設とも協力して、熊本の街をより魅力的なものとし、より多くの人で溢れる場所にしたい。
私は入社以来、長年「販促」「企画」に携わってきた人間です。全国的にも話題となる物産展を企画・実現したり、かつてランドセル販売で鶴屋が日本一(百貨店一店舗あたり)になった時、牽引役として貢献もしました。ですから企画力や熱意、粘り強さには自信があります。ICT化著しい中での「街づくり」は時代に逆行するようですが、そうした工夫や熱意を持ってすれば、不可能ではないと思っています。
また、いち百貨店としては、これまで扱ってこなかった分野の品を取り扱うことも考えています。都心部ではそうした動きがすでに始まっており、「ハイブリッド型」と言われたりしていますね。うちではまだ検討の段階ですが、そうした様々な試みに積極的にチャレンジし、この『鶴屋』をなんとか再構築したい。そしていずれは、回復した百貨店のモデルケース的存在になれたらと思っています。
日比谷公会堂での明治大学応援団によるステージ『紫紺の集い』で、大トリの明大節を演舞する福岡社長。 | 自分の限界を知り、それを 乗り越えた体験が活きている ― 学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。 福岡 熊本高校から進学した明治大学(以後、明大)では、応援団に入りました。当時は「日本一キツい応援団の1つ」と言われていましてね。時には運動部の連中が青くなるような、ハードな練習にも耐えたものです。また「(応援席の)このブロックは任せたから、湧かせてみろ」と先輩に言われ、話術や芸を工夫し一生懸命に観客を湧かせ、一体となって応援する。様々なスポーツの競技場で他の団員と競いながら、日々、そうした腕を磨く経験もしました。 おかげで自分の限界を知り、その限界を乗り越えるという体験を得ることができました。結果、体力はもちろん、クソ度胸や逆境でこそ燃える粘り強さとか、そうしたメンタル面の強さも養えたと思います。ですから鶴屋に入って、耐えられないほどキツイとか辛いとか、私、一度も思ったことがないんですね。 また応援団では、「感動」も経験させてもらいました。私の在籍中、明大は東京六大学野球リーグで3度優勝しました |
さらに言うと、人との多様な交流も大きかったですね。明大野球部にいた広澤克実(元プロ野球選手。ヤクルトで活躍後も、巨人・阪神両チームで唯一4番を務めた)を始め、同じ大学でも他の大学でも、後に様々な業界をリードするような人たちと、友人・知人になることができました。そうした交流って、社会に出てからいっそう活きてくるものなんです。知らない同士だと成立しないような案件も、相手が知人ならうまく行ったりする。またそうした知人同士から、さらに新しい人脈へ、新しいビジネスチャンスへつながっていったりもするんです。
―若者へメッセージをお願いします。
社会に出たくない若者もいるかもしれませんが、創意工夫と熱意を持って頑張れば、社会人ならではの「楽しさ」や「感動」があるものだよ、そう言いたいですね。仕事って楽しいものなんだよ、素敵なものなんだよって。
またそうした喜びを味わうために、とにかく「チャレンジしよう」、とも言いたいです。失敗しないと経験できないことだっていっぱいあるんだから、恐れることなく、やりたいことにはまずチャレンジする。そうしてチャレンジの結果、得たものや反省点を次に活かし続けること、そしたら大きな結果につながる、そして仕事が、人生が楽しくなる。
最後に、オンラインも良いけどやっぱり、いろんな人と直に交流すること。人とのつながりがいかに大事なものか、社会に出ると必ず実感するはずですから。