インターハイ16年連続出場
新人戦は7連覇!
現在、3年生9名、2年生17名、1年生8名の計34名で活動しています。今年度の県高校総体では学校対抗総合で女子が優勝し、400m・800m・4×400m・400m障害・5000m競歩・走り幅跳び・三段跳びで1位になりました。インターハイ出場は16年連続で、5000m競歩は7位入賞という好成績を収めました。また、新人戦でも女子は総合優勝し、7連覇することができました。
本校の陸上部は、みんなが中学時代からトップレベルで活躍していたわけではなく、高校で大きく成長した生徒が多いのが特長です。現キャプテンは高校から400m障害を始めて2・3年生時に優勝。高校から三段跳びを始めた生徒は、同種目と走り幅跳びで2冠を取りました。インターハイ5000m競歩で7位に入賞したのは、高校から陸上を始めた生徒です。
きちんと目標を設定して、それに対する具体的な練習メニューを提示していければ、高校からでも大きく成長できると考えています。生徒が自主的に書いている練習日誌やコンディション管理のアプリなども活用して、顧問の先生達と協力しながら丁寧な指導を心掛けています。
自主的に取り組もう!
-貴校陸上部での活動を通して、生徒たちに学んでほしいことは。
一つは、「準備することの大切さ」です。陸上はウォーミングアップのやり方次第で結果が変わってきますし、練習の時から心構えや体のメンテナンスをきちんとしておかないと本番で実力を発揮できません。また、陸上はほとんどの競技で自分が走るレーンやパフォーマンスの順番が決まっており、誰かと直接戦う必要はありません。与えられた舞台で誰にも邪魔されずに自分を表現するだけなので、すべてにおいて準備できている選手ほど良い結果につながるのです。
次に、「見切り発車をしない」こと。必ず根拠を見つけて、自分なりの結論が出てから一歩目を踏み出してほしいからです。 見切り発車では、良い結果につながりません。
最後は、「自主的に考えて取り組む」ことです。私は生徒達に対して「できない」と決めつけず、リスペクトして、必要な部分だけ教えて解決する時間を与えるようにしています。指導者として生徒に「やらせる」のではなく、「あえて何もしない」ことを選択したのです。すると、生徒達は自分たちで解決しようとします。例えば、陸上部としては朝練をしていませんが、課題を克服するために生徒が自主的に朝から練習したりするのです。これからの時代、大切になってくる「自主的に考えて取り組む力」を、陸上を通して学んでほしいと思います。
夢中になって楽しむことが
成長の秘訣
大学の陸上部での経験が、今の指導方法や考え方につながっています。その一つが、「夢中になって楽しむこと」です。高校までは自分よりレベルの高い選手と走る機会が少なかったのですが、大学へ進学すると周りは速い人ばかりで、練習はより科学的な内容になりました。でも、きついとは感じたことはなく、楽しくてたまりませんでした。そして一生懸命取り組んでいると、記録がどんどん伸びていったのです。その経験から、生徒達にも「きついと思っているうちは記録が伸びないぞ。夢中になって楽しんでやれた者が強くなる」と伝えています。後で「やればよかったな」と後悔するのではなく、「やってよかったな」と思える選択をし続けてほしいですね。
それから、チーム全体を盛り上げていくことの大切さも学びました。筑波大学の陸上部は短距離、跳躍、投てきなど競技ごとにブロック(チーム)が別れていて、それぞれをブロック長が取りまとめます。私は大学3年時に短距離のブロック長を務めていて、能力も性格も異なる選手達をまとめるのはとても大変でした。しかし、その経験から、陸上は個人が強ければいいのではなく、全体が強くなるイメージでチームビルディングしていかなければいけないことを学びました。例えるなら、個人のお店が集まる商店街。どこか1軒だけが利益を上げても、他がシャッター街になってしまってはよくありません。チームも短距離もハードルも跳躍も長距離も、男女も全部合わせて「チーム熊商」がどういう状態なのかを常に見るよう心掛けています。
青春は大きな財産
今を大事にしよう!
八代高校時代の1枚 | -座右の銘は。 「称賛される勝者」。私は選手時代、大会で勝った時に「やっぱりあの人が勝つと思っていた!」と応援されるような選手でありたいと思っていました。そのためにも、大切にしていたのがレースまでの過程です。一生懸命かつ密な時間を送ってきた人ほど周りから応援されるからです。本校陸上部の生徒たちにも、そうなってほしいと思っています。タイムが速いのは“凄い”けれど、“偉い”わけではありません。地道な取り組みができていたり、献身的に周りをフォローできていたりすることが、本当に“偉い”こと。そして、“偉い”と“凄い”が一緒になった時に、私が求める「称賛される勝者」になれると思います。 |
-若者へメッセージをお願いします。
今はスマートフォンやタブレットなどが身近で、子供達が自分で情報を集められる時代です。もちろん良い面はありますが、そのために今やらなくていいことをやっているというか、今本当にしてほしいことをできていない子供が多いのではないかと感じています。人生は長いですが、高校生活はわずか3年。だからこそ、今しかできないことに全力で取り組んでほしいと思います。私は陸上部の生徒達がチームメートと一緒に悩んだり、ワチャワチャしていたりするのを見て「いいなあ」と憧れます。まさに青春。きっと大きな財産になります。ぜひ今を大事にしてください。
(インタビュー/2022年12月20日取材)