T1 park 記者
大学生活を通じて学生に身に付けて欲しい力は。 原田 熊本大学には色々な学部がありますので、それぞれの学部によって身に付けて欲しい力は違ってくると思います。大学全体としては、グローバル人材養成に力を入れようとしていますので、グローバル人材として必要とされる多文化に対する理解力やコミュニケーション能力を身に付けて欲しいところです。しかし、今も昔も同じですが、実際は学生の多くが単位を取得することが第一義になりがちです。それが悪いとは言いませんが、やはり学生の皆さんには、どんなことでも興味を持って、そこにとことんのめり込むような人材になってもらいたいと思っています。これは全学部に共通して言えることだと思います。 |
T1 park 記者
学長が若い時に経験されたことで、役に立った思い出は。 原田 若い頃から良くも悪くも神経質なところがありました(笑)。あることをやると決めたら、自分できちんと目標を立ててスケジュール通りにやる習慣がありました。それは今でも役に立っていると思います。例えば、本を1カ月に3冊読むと決めたら、絶対にきちんと読まないと気が済まない質でしたし、興味ある作家がいればその人の作品を片っ端から読んでいきました。 もう一つは、失敗や挫折をして、それから自分が回復したということは、若い頃の貴重な経験だったと思います。例えば、浪人したことや単位を落としたことなど色んな失敗や挫折ありました。大切なことは、それを「何くそ!」と思って挽回するという経験だったと思います。その時諦めていたら今は無かったと思います。今の若い方々にもこの経験を是非して欲しいと思います。話は逸れますが、恋愛でもそうですよ。1回ぐらい振られてみて、人間の感情というものが一体どういうものか、若いうちに身を持って知っておくことも大切です。 |
T1 park 記者
若い頃からスポーツを。 原田 竜南中学校時代からテニスをしていまして、大学時代には医学部の軟式庭球部に所属していました。熊本大学の教員になってからも軟式庭球部の部長をしばらく務めたこともあります。学生時代は大会にもよく出場していました。大学時代にクラブに所属してスポーツに励んだことは体を動かすこと以上に、社会性を学ぶ良い機会だったと思います。当時はコートが一面しかありませんでしたから限られた人数しか中に入ることができませんでした。試合や練習の合間はコート外で待つしかなかったんです。その待っている間に英語の専門書を読んだり、先輩からに色んな情報を聞いたりと、多くのことを吸収することができました。 |
T1 park 記者
学長の座右の銘は。 原田 一つ挙げるとするならば、「無」という一文字でしょうか。アメリカ時代にボスの奥さんが、日本人の考え方とは何かと聞いてきたんです。そこで、以前から禅について興味がありましたから、人間は一度「無」の境地になることが必要で、「無」の精神状態になってからこそ新しい物事を創り出すことができるのだと答えたんです。ですが、アメリカ人の彼女からすると「無」(Nothing)ということがなかなか分からなかったみたいですね。 今でも「無」の状態になることが色々な意味で必要だと思っています。例えば、学長になると決まった時に体力も付けないといけないと思い、スポーツジムに通い始めて水泳などをやり始めました。もちろん運動は体の調子を整えるために非常に良いと思いますが、何よりも泳いだりトレーニングしたりすることを通じて、何も考えない「無」の状態になって精神的にスッと抜けることが大事だと思うんですよ。そうなることによって、また新しいアイディアを生む原動力につながっていくのだと思います。 |
T1 park 記者
若者への応援メッセージを。 原田 まずは興味を持って、何事にもとことんのめり込む経験をしてもらいたい。今の若い皆さんはとても優秀です。大学では出席率も良く、勉強も良くします。しかし一方で、ものすごく何か物足りない部分が多くあると思うんですよ。それは先ほど言ったように、単位を取るための努力はするといったように、非常に受け身なんですよね。試験の前にしっかり見直しをして、調べてパーフェクトにやってくるけれども、それでは何も身に付かないと思うんですよ。 身に付けるには自分からやはり興味を持って、そして何事にも取り組んでいくことが大切です。研究も一緒です。なぜ研究をやって知識などが身に付くかというと、それを自分でやるからなんですよ。人にやらされていては身には付きません。自分で仮説を立てて、それを自ら手を動かしてやるから必然的に身に付くんですよ。そこで問題などがあるから自分で論文などを探して読んで解決していくから良いんですよ。そうしなければ何も進みませんし、身にも付いていきません。興味を持っているときはそれが全く苦痛にならないものです。 T1 park 記者 ありがとうございました。
Writer M.Ujino
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