震災後は被災した方への 無料相談会を実施している ― 南九州税理士会熊本県連合会の近況を教えて下さい。 まず、税理士会の仕組みからお話します。日本全国には15の税理士会があり、これは税理士の業務の遵守及び業務の改善進歩のため、支部及び税理士に対する指導、連絡および監督を行っており、税理士法で設立が義務化されているものです。そして税理士であれば必ず入会しなくてはいけません。 そのうち、熊本・大分・鹿児島・宮崎4県の税理士で組織するのが南九州税理士会。各県にはさらに支部があり、熊本の場合10の支部を擁しています。それら全てを南九州の会が監督するのは難しいですから、任意の団体としてその間に、熊本県連合会が存在するというわけです。 |
理系の私にとって、数字を扱う仕事というのがまず魅力的でした。加えて安定したイメージがあり、収入も良い。夜間、専門学校に通うことから勉強を始めましたが、働きながらでは時間が取れず、やはり苦戦しました。やがて、いつの間にか老けた親の姿を目の当たりにしたこと、そして「自分を育ててくれた熊本で頑張ろう」という思いから帰郷し、勉強に専念。9年をかけてようやく、税理士資格を取得しました。
19歳の頃、1人旅で高松(香川県)へ行った時のもの。 | 常に学び、自分を 磨き続ける必要がある ― 仕事をする上でのやりがいや、大切にしていることを教えて下さい。 お客様である企業、特に中小企業のパートナーとして、その事業計画に深く関われることですね。多くの中小企業の悩みと言えば、税以上に「資金繰り」。いつも税を計算しているイメージかもしれませんが、そんな「中小企業の資金繰りのお手伝い」をする、それこそが現在の、税理士の主業務です。企業に頼りにされ、頼りにならなくてはならない存在として、誇りを持てる仕事です。 そのためには企業の現状をしっかり把握し、常に先を読むことが大切になります。患者の体をよく知り、適切な治療を行うことと似ており、私は税理士のことを「中小企業の町医者」と呼んでいます。経営者・企業との関係は自然と親密になりますし、それだけに上手くいった時には、こちらも我がことのように嬉しくなる。そういう時には、本当に「税理士になって良かった」と思います。 また法律は頻繁に改正されますから、常に学び、自分を磨き続ける必要がある。自己の成長を目指す若者には打ってつけの仕事と思います。定年もありませんから、人生100年と言われるこれからの時代、特に有望ですね。 もちろん平均年収も高い方ですし、女性にも働きやすい。会社員と違って、独立すれば自分のペースで仕事ができますからね。 |
このように若者をはじめ、いろんな方に自信を持ってオススメできる仕事を続けてこられて良かったと、私は今も心から思っています。ちなみにまだまだ頑張るつもりですよ、この歳ですが、まだ幼稚園の子供がいますからね(笑)。
学生時代の人間関係に ずっと助けられてきた ― 学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。 済々黌高校では野球部でしたが、当時の先輩や同級生といった、タテヨコのつながりには本当に助けられました。税理士試験の勉強中も、ある友人が息抜きにと、遊びに誘ってくれたりしましてね。おかげでずいぶん気持ちがラクになったと思います。税理士になってからも、先輩や友人がお客様になってくれたり、お客様を紹介してくれたり。そうやって少しずつ業績も伸びていきました。 ですから学んだこととしたら、そういう「学生時代の人間関係を大事にすることの大切さ」、と言えるでしょうか。彼らとの付き合いは今でも続いていますし、もちろん、ずっと感謝し続けています。 ― 座右の銘は。 格言のようなものは全くないんですが…もう「忍耐」、とにかく耐えること、でしょうか。最初からうまくいくことなんてありえないんだから、耐えるしかないんだと。 特に私は人生負けてばかり、税理士になるまでにも、必要とされる5科目に合格するまで9回も落ちてますから。それでもとにかく耐え続ける、そうしたら、少しずつですが道が開けてくる。人生万事、そういうものかなと思っています。 |
前進へとつながる
― 若者へメッセージをお願いします。
若い人、とひとくくりにはできませんが、話していて「そもそも、夢や志があるのかな?」と思うことがあります。若い今のうちに、生きる上で原動力となるような目標を持つことは大切だと思いますから、まずは何かしら、志を持って欲しいと思いますね。
そして夢や志を持ったら、それに向かって諦めず、挑戦を続けて欲しい。一度や二度の失敗では諦めない、へこたれないこと。そしたら時間はかかっても、必ず前進へとつながるはずです。
前述しましたように、私は税理士試験に何度も失敗しました。しかし今は県連合会の会長として、また1人の税理士として、充実した日々を送っています。若い皆さんも同じように、失敗してもその先に、良き未来があることを願っています。