たとえば大型二輪のオーダーは、昨年に比べ2〜3万台アップ。国内市場はやや縮小していますが海外、特に欧米での人気に牽引されています。新商品の売れ行きが良いことも、業績向上につながっていますね。
またスクーターなど原付一種の分野で、ヤマハ発動機との協業を予定。さらに「スマートフォンとバイクの連携技術」推進など、先を見据えた動きもしっかり進めています。今後はこれまで以上に、企画から開発・生産に至るまでの「ホンダ二輪の中心」であろうと考えています。
フィリピンに4年、中国に3年と海外赴任も経験しました。ただ、外国の方と働くということはひと筋縄ではいかない。日本人同士なら阿吽の呼吸で動いてくれる場合でも、なかなか思うように動いてはくれないんですね。
そんな時に大切にしたことも、やはり「あきらめない」ということでした。どうすれば動いてもらえるかを粘り強く考え、結果、彼らが納得するような「その仕事をするための明確な根拠」、「具体的な目標」などを提示し、共有。そうするうちに「共感」と「信頼」を獲得し、うまく仕事を回せるようになっていきました。「あきらめたらそれで終わり」とはよく言いますが、まさに万国共通だと実感したものです。
困難を自分たちで乗り越え、これまでの暮らしや仕事の大切さに、自分たちで気づいた。その経験を大切にしていけば、これから先も熊本は、みんなでどんどん成長していけるはずだと思います。
野球に打ち込んだ八代工業高校時代
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自ら率先して動くことが
他の人をも動かす ―座右の銘は。 下川 1つだけ言うなら、「進取果敢(しんしゅかかん)」です。自ら積極的に物ごとに取り組み、力強く、かつ大胆に決断するという意味ですね。 やはり、なんでも前向きに取り組んでいきたいという私の意志に重なります。また、繰り返しになりますがとにかく負けず嫌いなので(笑)、そもそも「あきらめる」という選択をしたくないんですね。どんなに難しいと思ったことでも、まずはやってみたい。そして、何かしら乗り越えるための方法を考えたい。そんな自分の性分からも、この言葉に惹か れます。 所長としての立場から言うと…人任せにせず自ら率先して事業に取り組むということは、その背中を見て、従業員たちも自主的に動いてくれるというか。結果的に、良きリーダーであることにもつながるかと思います。 |
若者の可能性は
まさに無限大 ―若者へメッセージをお願いします。 下川 「今しかできない何かに、全力で打ち込んで欲しい」と思います。 私はバイクに興味があり、創業者・本田宗一郎への憧れや面白そうな会社だと思ったことなどから、ホンダ、つまり「モノづくり」の世界に入って頑張り続けました。ですが、別にモノづくりじゃなくても良い。高校時代の私のように、野球でなくても良い。自分が興味のあることなら何でも良いんです。 周りに流されず本気で打ち込めるものを探して、ひたむきに、楽しく前向きに頑張る。今はわからなくともその経験は、必ずいつか、いろんな形で活かされていくはずです。若者の可能性というのは、まさに無限大。自分に限界を設けず、今この時をしっかり生きることで、その可能性を広げていって欲しいですね。
Writer T.Iwanaga
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