【プロフィール】 2006年10月25日生まれ。15歳。熊本市出身、熊本県立濟々黌高校在籍。 2022年8月1日付で日本将棋連盟の関西本部所属の女流棋士となる(女流2級) 「熊本県初の女流棋士は高校1年生」 ――近況を教えてください。 今年の8月1日付けで熊本県初の女流棋士になりました。プロになってからも、普段と変わらず対局や詰将棋、棋譜並べをしています。9月にはデビュー戦の女流王位戦が東京で行われ、対戦相手は過去に将棋を指したことがある方だったので、その人の研究などもしていました。また、高校の囲碁・将棋同好会に所属しているので、月曜と金曜は部活に参加し、それ以外では学校の行き帰りのバスや電車の中で、スマホで出来る詰将棋をしたり棋士の先生などの棋譜を見たりしています。 ◎詰将棋とは、将棋のルールを用いたパズルのこと。駒が配置された将棋の局面から王手の連続で相手の玉将を詰ますパズルです。 ◎棋譜並べとは、棋譜を見ながら、その通りに実際に自分で将棋盤の上で再現すること。 プロ棋士のような強い人の指し手を並べていくことで、自分では思いつかなかった手に気づいたり、手筋の実戦での活用の方法が分かったりと、将棋学習法として有効です。 ――将棋を始めたきっかけは何ですか? 親戚から誕生日プレゼントでもらったボードゲームのセットの中に将棋があり、それに一番興味を持ったことがきっかけです。5歳から将棋を始めてそこから教室にも通うようになりました。 ――将棋を通して学んだことはありますか? 松下さん:集中力と先を読む力を養いました。集中力については、勉強や課題に取り組んでいる時はそっちに集中し、終わったら将棋に集中するというように、やらなければいけないことを1つずつきちんと終わらせるようになったので、そういうところが集中力アップにつながったのかなと思います。先を読む力に関しては、何かモノが落ちそうになっている時にそのまま素通りするのではなく、安全な状態にするみたいな感じで、危険があったらまずそれに気づき、その後どうなるか危険を予測して動くようにしています。 ――将棋の魅力はなんですか? 松下さん:終盤で、1手でも間違ったら逆転されてしまうところです。対局では相手の15手先くらいまで読んでいます。しかし、相手の次の手によって、自分の手が悪かったことに気づかされるということもあります。また、何局指しても絶対同じ局面にはならないところも楽しいです。 ――今、力をいれていることはありますか? 松下さん:普段とあまり変わらないのですが、将棋の勉強です。詰将棋であれば、家では短い手数のものを早く解けるようにしたり長い手数のものを少し時間をかけて解いたりするようにしています。棋譜並べでは棋士の先生の棋譜を並べて「もし自分がこの状況になったらどう指すか」を考えながら並べています。 ――座右の名は何ですか? 松下さん:「飛躍」です。プロになったことに満足するのではなく、さらにもっと上の方にいって活躍できるようになりたいという思いがあるからです。 ――今後の目標を教えてください。 松下さん:最終的にはタイトルを取れるようになりたいので、今は力をつけたいです。まずは今年始まる順位戦で良い結果を残して、今期でC級に昇級したい。プロは勝つほど対局数が増えていきます。負けたらその時点で終わりなので、多く勝てるように頑張ってリーグ入りや本戦入りできるようになりたいです。また、私が将棋を始めたときからタイトルを持っていて何年間もトップを走り続けていらっしゃる里見香奈女流6冠を尊敬しているので、いつか対局できるようにもっと頑張ります。 |
Writer K.Nishi