↑パンパシフィックカップにて。金メダルを胸に表彰台へ上がった。
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――近況を教えてください。 有馬 1月に『パンパシフィックカップ』 という環太平洋地域の国際大会にて、2本のバトンで技の難易度を競う『トゥーバトン部門』で銀メダル、技の難易度に加え表現力も競う『アーティスティックトワール部門』で金メダルを頂きました。 熊本からの出場は私1人、チームの他のメンバーや先生もいない状態。審査員は日本の大会の倍くらいで、実は緊張しすぎてよく覚えてません(笑)。ただお客様や他の選手たちが、国境を越えて応援してくださったことは印象的でした。 その後は2月の九州大会に出場し全日本大会へ初出場を決めたんですが、新型コロナのため中止になってしまって。他の大会等も日程が出ない状況で、今は正直、目標やモチベーションを維持するのが難しいです。 |
↑最初の準備体操をしている様子。バトンを回す上で毎回欠かせない基礎練習。
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――バトントワリング(以下、バトン)を始めたきっかけは?
有馬 もとはクラシックバレエをしていたんですが小学2年の時、脚の病気が見つかって断念しました。しばらくして、母が「手だけでもできることを」とバトンを勧めてくれたのがきっかけです。 でも当時、車椅子だった私は他のバトンチームに受け入れてもらえず、今も所属する『メリーホッパーズ』の先生だけが受け入れてくれました。 ――有馬さんにとってのバトンの魅力は? 有馬 バトンはたった1本の棒ですが、回すと周りが笑顔になる。そのことに感動して以来、「こんな自分でも人を笑顔にできるんだ」と魅力を感じています。 |
↑高い柔軟性が求められるバトントワリング。選手としては体が硬いという有馬さんは、日々のストレッチを欠かさない。
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自分の苦しい経験がないと
周りに笑顏をあげられない ――バトンを通して学んだことは? 有馬 最初の3年は車椅子のまま手だけで練習、病気が治ってもしばらくはすぐ座り込み、立ち続けることからスタート。何度も心が折れそうになりましたが、「諦めたら取柄がなくなる」と必死に続けました。また技によっては習得に1年半くらいかかり、そうした経験から「忍耐力の大切さ」を学べたと思います。 かつて先生から「人を元気に、笑顔にさせるためには、陰で人の何倍も努力をしなさい。自分の苦しい経験がないと、周りに笑顔をあげられない」と教えられ、胸に刺さりました。その言葉を、今も大事にしながら頑張っています。 |
Writer S.Nishi