6 月 19 日、熊本保健科学大学で「健康・スポーツ教育研究センター」センター長・特 任教授の荒木栄一先生による紫綬褒章受章記念講演会が開催されました。
紫綬褒章(しじゅほうしょう)は、科学技術や学術、芸術、スポーツなどの分野で優れた功績を残した人に贈られる褒章です。これまでにも多くの著名な研究者や文化人、スポーツ選手が受章しており、日本を代表する栄誉のひとつとされています。
荒木先生は、糖尿病研究の第一人者として長年にわたり研究・教育・診療に携わり、 インスリン作用の仕組みの解明や糖尿病の病態研究、新たな治療法開発につながる研 究成果が評価され、令和 8 年春の紫綬褒章を受章しました。 会場には学生や教職員をはじめ、医療・研究関係者など多くの参加者が集まり、荒木 先生の研究の歩みや現在の取り組みに耳を傾けました。
| 紫綬褒章につながった研究とは? 講演では、「インスリン作用のメカニズムの解明~糖尿病病態の理解と新規治療法の開発のために~」をテーマに、これまで取り組んできた研究について紹介されました。 荒木先生は、インスリンが体内でどのように働くのか、その仕組みを分子レベルで解明する研究に長年取り組んできました。その研究成果は、糖尿病の発症メカニズムの理解や、新たな治療法開発へとつながっています。 また近年は、糖尿病予防だけでなく、高齢者の健康づくりにも力を入れています。阿蘇市ではフレイル予防事業にも取り組み、地域住民の健康づくりを支援しています。 研究成果を社会へ還元することを重視し、基礎研究から地域活動まで幅広く取り組ま れていることも紹介されました。 |
講演後の質疑応答では、熊本県の糖尿病の現状についても話題になりました。熊本県では依然として糖尿病対策が重要な課題となっており、その背景には車社会による運動不足や生活習慣の影響などがあると説明されました。
また、高齢者の運動療法についても議論が行われ、「まとまった運動だけでなく、日常生活の中で身体を動かすことも大切」と紹介されました。 研究成果を発表するだけでなく、それを地域の健康づくりへ生かしていく姿勢も、荒木先生の研究活動の大きな特徴です。
講演会では、荒木先生のこれまでの歩みも紹介されました。 荒木先生は熊本生まれ熊本育ち。熊本高校から熊本大学へ進学し、その後、米国ハーバード大学医学部ジョスリン糖尿病センターへの留学も経験されました。
帰国後は熊本大学で教授として研究や教育に携わり、現在は熊本保健科学大学の健康・スポーツ教育研究センター長・特任教授として活躍されています。
講演後の取材では、「研究だけでなく教育にも携わりたいと思っていました」「研究室の中だけで完結するのではなく、発見したことや開発したものを社会に広げ、実際に活用してもらうことが大切だと思っています」 と話してくださいました。
講演を聴講したリハビリテーション学科作業療法学専攻 1 年の吉野百香さん、谷川結渚さん、平川愛菜さんにも話を聞きました。 3 人からは、「世界で活躍された先生が自分たちの大学にいることを改めて実感しました」「ハーバード大学で学ばれた知識や研究成果が、熊本の糖尿病予防につながっている ことがとても印象的でした」といった感想が聞かれました。
また、「世界で活躍する研究者の歩みを知り、自分たちも幅広い視野を持って学び続けていきたいと思いました」「研究や臨床の現場で活躍するために、日々の学びを大切にしたいと思いました」 と、将来の目標につながる学びを得た様子でした。
作業療法士を目指す学生たちは、今回の講演を通して糖尿病への理解も深まったといいます。
「糖尿病は単に甘いものの食べ過ぎではなく、肥満や運動習慣、細胞レベルの働きま で関係していることを学びました」「病院だけでなく、自宅での生活も見据えながら患者さんの健康づくりを支援できる 作業療法士になりたいと思いました」と、
それぞれ将来への思いを語ってくれました。
| 「迷ったら、まずやってみる」 講演後の取材で、学生へのメッセージを伺いました。 荒木先生は、「進路を選ぶ時には、楽な方ではなく難しい方に挑戦してみてください。苦しいこともありますが、その分得られるものも大きいと思います」 と語ります。 さらに、「やってみないと分からないことはたくさんあります。迷ったらまず挑戦してみることが大切です」 と、若い世代へエールを送りました。 糖尿病研究の第一人者として紫綬褒章を受章した荒木先生。その研究成果だけでなく、挑戦し続ける姿勢や社会へ還元する考え方は、参加した学生たちにとって大きな 刺激となったようです。 今回の講演会は、最先端の研究に触れるだけでなく、医療人としての将来や学び続けることの大切さを考える貴重な機会となりました。 |





