T1 park 記者
文徳相撲部の近況を教えてください。 本田監督 男子部員11人、女子部員2人の計13人で活動しています。男子は1986年の創部以来コンスタントに全国大会に出場し、卒業生の中には肥後ノ海や濱ノ嶋、普天王、天鎧鵬など大相撲の力士・親方として活躍する子もいます。 8月に開催された全国選抜高校相撲十和田大会で団体3位、9月1日の全国選抜高校相撲宇佐大会でも団体3位。個人でも北部九州総体で準優勝しました。団体、個人ともに全国優勝できていないので悔しい気持ちはありますが、強豪揃いの全国大会で入賞するのは並大抵のことではありません。選手達の頑張りを強く感じています。 9月29日には3年生最後の大会となる東京国体が控えていますのでライバル校の鳥取城北高校と埼玉栄高校に勝って全国制覇を成し遂げたいですね。結果はともかく、夢は大きく、勝ちにいく。常にそういう姿勢で指導しています。 |
T1 park 記者
明確な目標を持つことがポイントですね。 本田監督 高校生は勉強、部活動のほかにもアルバイトや恋愛、オシャレなど色んな誘惑があると思います。そんな中で相撲部の生徒ははっきりと目的意識を持ち、普通の人がやっているようなことは我慢して目標に向かって努力しています。いつも言っているのは「今しか」と「今でも」を区別することです。最近、「今でしょ」という素晴らしい流行語がありますが、今しかできないことを一生懸命やって、後からでもできることはその時やる。子供達には「遊ぶのは卒業した後でもできるんだよ」「高校のインターハイとか国体は今頑張らなきゃいけない、今しかないんだよ」と伝えています。しっかりと話をすれば大体の生徒には分かってもらえますし、毎日毎日先生に言われていたら誰でも少しは耳に残るでしょう。 |
T1 park 記者
あまり厳しくしないのですか。 本田監督 基本的には愛情のもとに厳しく指導しますよ。相撲はほかの競技のように一試合で何度もチャンスがくるわけではありません。一度でも手をついたらそれで終わりです。土俵の上で数秒の勝負をするために毎日きびしい練習をしているわけですから、そこで結果を出せるように徹底して追い込む作業が必要です。技術は当然の事としてやっぱり最後に勝負を分けるのは気持ちの部分。ここぞという時に強気、勝ち気でいけるように普段の練習で精神を鍛えておく。選手として、監督として自分が味わってきた経験を生徒に託したい。それが成功するのかは分かりませんが、やってみて損はないと思います。 |
T1 park 記者
指導する上で大事にしていることは。 本田監督 相撲は記録競技ではなく勝ち負けがつくもの。誰もが勝ちたいと思っています。だから泥臭くても格好悪くてもとにかく勝て、勝ちにこだわれというのは常に伝えています。負けた場合でも、なぜ負けたかを反省し次につなげていかなければいけない。部活動とはいえたくさんの時間とお金、さらに色んな方の協力を得ながら頑張っているわけですから勝利を追求してほしいですね。 練習で大事にしているのは基礎、基本など単純なこと。準備運動も適当にするなと。当たり前のことほど言うのは簡単だけれどもやるのは難しいものです。試合でも派手な大技で勝つと観客も湧きますし一見格好良く見えるものですが、私は寄り切りや押し出しなど王道の技をしっかりとできる選手、力士はすごいなと思います。自分を追い込むこと、基礎を大事にすることは相撲だけじゃなくほかのスポーツや社会に出てからも一緒じゃないですかね。成功している人達はどの世界でも共通する部分を持っていると思います。 |
T1 park 記者
最後に若者に向けてエールを。 本田監督 若い人に偉そうに物申すつもりはありませんが、もっと「一生懸命生きる」ということを感じてほしいなと思います。高校の部活動は損得抜きにして夢に向かってひたむきに頑張ることができる。これは社会に出てからだと意外と難しかったりします。夢はなんでもいいんですよ。興味があるもの、他人に負けない情熱をもつものを探し、何か一生懸命になれるものに出会ってほしいなと思います。そして周りに流されることなく自分の頭でその一瞬一瞬を考えて行動してほしい。漠然と時間を生きるのではなくなにかひとつ打ち込む、そうすることでまた見えてくることがあります。それがもし駄目でもまた新しいものを見つけてもいい。努力に向かった過程は消えません。大きなことじゃなくてもいい、「今しか」できないことにとことん一生懸命になってほしいですね。 |