2024年度は全国高校総体(インターハイ)でベスト8に、全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)では準優勝することができました。また、インターハイでベスト8に入ったチームが出場できるU18日清食品トップリーグでは4位という好成績を収めることができました。新チームになって最初の大会となった全九州高校バスケットボール春季選手権大会(新人戦)では、県大会で優勝(3連覇)し、九州大会で準優勝することができました。
現在(令和6年3月時点)、部員は22名(2年生10名、1年生12名)です。週6日、校内の体育館で活動しています。昨年のチームは高身長の生徒がいたので高さを活かす戦術が中心でしたが、新チームは高さの強みがないので機動力・スピードで勝負したいと考えています。練習で重視しているのは、基礎とディフェンスです。オフェンスはシュートが入ったり入らなかったりと試合によって波がありますが、ディフェンスは練習した分だけ成果が出るので、本校ではディフェンスを重視したチーム作りに例年取り組んでいます。
――今後、力を入れていきたいことは?
私自身が学び続けることです。生徒たちを指導するうえで、指導者の知識・経験はとても大事な要素だと思います。しかしながら、私はまだ指導者として若く未熟なので、常に学び続けていないと生徒に多くのことを伝えることができません。私が学び続けることが生徒の成長にもつながっていくはずなので、バスケットボールについては本校校長でバスケットボール指導者の先輩でもある伊藤敏幸先生をはじめ周りの先生方にアドバイスをいただいたり、新しい技術や戦術、傾向などはSNSや本で学んだりしています。これからも生徒と共に成長していきたいですね。
それから、「生徒の心をつかむ」ことに、よりいっそう力を注いでいきたいと考えています。これは伊藤先生から学んだことなのですが、生徒の心をつかみ、きちんと向き合うことが技術以上の力を育むことにつながるのです。つい知識や技術重視の指導に走りがちですが、生徒と指導者が向き合えていなければ、生徒の成長にはなかなかつながりません。
全員がバスケットボールを生涯ずっとやっていけるわけではありません。だからこそ、バスケットボール選手としてだけでなく、いち社会人として「どんな人間になってほしいか」を考え指導するようにしています。そのために大切にしているのが、練習中・練習外を問わず、挨拶をする、決まり事や時間を守る、陰日向なく努力する、忍耐力を養いやり遂げるといった人間力の向上につながる基本的なことです。生徒たちには立派な大人になって社会に出てほしいと思います。それに、人間力がなければバスケットボールも上手くなりません。
――学生時代の、今に活きる「学び」を教えてください。
高校時代と大学時代の部活動の経験から得た「学び」が今に活きていると思います。高校時代で最初に思い出すのは、とにかく練習が厳しかったことです。当時は大変さのあまり、高校の3年間が10年ぐらいの長さに感じていました(笑)。その中で、仲間と切磋琢磨し、3年時にキャプテンとしてチームを引っ張った経験は、私の大きな財産。成長するために必要な厳しさと、バスケットボールの技術・戦術などの土台、そしてリーダーシップについて学ぶことができました。恩師である田中洋平先生(九州学院高校男子バスケットボール部監督)から当時学んだことは、指導者となった今も私のベースになっています。 一方、進学した同志社大学は、学生主体で練習を進めていくというスタイルでした。高校と違い、自分で考えて頑張らなければ成長できない環境に最初は戸惑いました。そして2年時に、所属していた関西リーグで1部から2部に降格するという挫折を経験。それからは、より主体的に動こうと努力するも、なかなかうまくいかず試合で勝てない日々が続きました。それでもチームで話し合い、時にぶつかり合いながら前に進み、次第に試合で勝てるように。3年時には1部に昇格し、4年時には全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)への出場権を獲得することができました。この4年間で「挫折や失敗は未来につながる経験になる」ことを実体験し、その学びは今も私の中で活きています。 |
「人間万事塞翁が馬」。高校生の頃にバスケットボール部の監督から学んだ言葉です。一見すると不運や不幸に見える出来事も、長い目で見れば幸運に変わることがある 。逆も然りです。シュートが入ったり、外れたり、試合の勝敗など目の前の物事に一喜一憂せず自分の目標に向かって何事にも一生懸命取り組むことが大切だと女子バスケットボール部の生徒たちにも伝えています。
私はまだ28年しか生きていませんが、振り返ると成功したことをより失敗したことの方が多いと思います。でも、そういった挫折・失敗というのは、いずれは先につながる経験になります。バスケットボールを題材にした人気漫画の中に、「負けたことがあるというのがいつか大きな財産になる」という言葉があります。若い皆さんには、挫折した時にすぐ諦めてしまうのではなく、自分に負けず、逃げないでほしいと思います。その先を信じ、自分を信じていれば、いずれ良い結果が生まれるはずです。
|インタビュー日時|
(インタビュー/令和7年3月27日)