九大、熊大薬学部へも進学 バレーは春高ベスト8 ― 熊本信愛女学院中学校・高等学校の近況を教えて下さい。 本校はカトリック精神を基盤とする幼きイエズス修道会(カトリック教会の修道会で、世界各地への宣教に努める)の教育理念に基づいて1900年に設立されました。昨年120周年を迎えた今もそこは変わることなく、校名にある通り〝信〟と〝愛〟を基調とした「全人格的(総合的)教育」を目指しています。ことに女子校ですから、校訓にもなっている「聖く明るく美しく」を理想像として、人のため社会のために尽力し貢献できる女性の育成に重点を置いています。 もちろん学校ですから、学業に励んでもらうのは当然です。中学校からは熊本高校、済々黌高校といった県内トップ校にここ数年、平均10名程は進学しています。高校でも特進コースを中心に、国公立や難関私大へ進学する生徒も少なくありません。中でもスーパー特進クラスは九州大学や熊大薬学部、私立も上智大や明治大など全国的難関大への進学実績があります。特に上智大はカトリック高校からの特別入学試験があり、その枠を目指して本校を志望してくる人もあります。 また、部活動にも力を入れています。なかでもバレーボール、陸上、バドミントンは「強化部活動」として全国レベルでの活躍を目指しており、特にバレー部は一昨年、実際に春高で全国ベスト8に輝きました。学校によっては授業の一環 |
やはり歴史的に見て、女性は男性以上に社会で不当な扱いを受けることもあったと思うんですね。ですから周りに左右されない、良い意味で信念や賢さというか、そういった「社会を生き抜く力」を身につけた女性が増えるように頑張っていきたいと思います。
困難や逆境に負けない たくましい女性を目指して ― 貴校での生活を通して、学生に学んで欲しいことは。 先に言ったことと重なりますが、生活力というか、特に1人の人間として自立できる術を学んで欲しいですね。本校を卒業した後は、進学先や就職先で、さらに結婚・妊娠・出産、育児に介護等々…。もう教師は側におらず、自力で乗り越えなければならない様々な困難がこれからの道程に、いろんなタイミングで現れてくるはずです。ですからそうした困難や逆境に負けない力を、この熊本信愛で学び、身につけてもらえたらと。 私が教師になってもう40年ほどになりますが、今の高校生たちは昔に比べ、周りを気にする度合いが強いように感じます。空気を読むのは良いのですが、あまりに読み過ぎて本当の自分を出せないというか。そうした彼女たちが、自分を出すべき時は出して、主張すべき時は主張するといった感じで、たくましく生き抜いていけることを願っています。 ― 学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。 学生時代、特に高校の頃はとにかく楽しかったですよ。勉強の思い出より友達と遊んだことの方が記憶にあります。 一方で、まあ当時はどこも似たようなものだったと思うん |
その頃の経験が反面教師になったというか、自分は教師として、生徒たちをきちんとケアしていきたいという思いは昔からずっとありますね。今でも学校に残って遅くまで勉強している子がいると、私も付き合って残ることがあります。
期待されていなかった子が コツコツ勉強して難関大へ ― 座右の銘は。 「継続は力なり」、これに尽きます。勉強でもスポーツでも仕事でも人生でも、何にでも通じる言葉ではないでしょうか。 本校生徒の例で言うと、地頭が良く勉強もできたのに、努力を怠っていたため著しく成績を落としたということが、残念ながらあります。反対に最初はそれほど期待されていなかった子が、コツコツ頑張り続けた結果、思いもかけない難関大へ合格したということもあります。 継続は力なり…長い教員生活の中でいろんな生徒たちを見てきて、本当に実感する言葉ですね。もちろん、私たち教育者も肝に銘ずるべき言葉だと思います。 ― 若者へメッセージをお願いします。 今の若い方は周りを気にし過ぎると言いましたが、その反面、本質的なところでは昔以上に自分勝手というか、自己中心的なところがあると感じてもいます。周りを気にするというのも嫌われたくないとか、出る杭は打たれるからとか、結局はそうした自己保身のためである場合が多いように感じます。 そうではなくて、本当に「人の気持ちをわかってあげる」「人の立場になって考えられる」ということ。いわゆる「思いやり」を持つこと、これをもっと大事にして欲しいと思います。 |
そして、みんなが気持ちよく生きていける社会をつくるためにも、1人ひとりが社会の一員である自覚を持って欲しいと切に願っています。 (インタビュー/2021年4月9日取材)