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【プロフィール】
YUKI YAMASAKI 2004年、熊本マリスト学園高校卒 1985年生まれ、40歳。上天草市出身。小学5年生からソフトテニスを始める。中学時代は九州大会準優勝、全国大会 3位など好成績を残す。高校時代はインターハイ・国民体育大会に出場。進学した早稲田大学でも競技を続け、卒業後 に帰熊。一年間、教員を勤めた後、より競技に集中できる環境を求め熊本学園大学職員に。社会人選手としても活躍し、 2013年の国民体育大会で全国4位に輝く。「UNIVAS(一般社団法人大学スポーツ協会)AWARDS 2020-21』コー チ・オブ・ザ・イヤー部門で優秀賞を受賞。令和7~8年度「全日本U-14男子チーム」のコーチも務める。
創部史上初の快挙!全国大会に男女アベック出場 |
-熊本学園大学ソフトテニス部の近況を教えてください。
5月に開催された第51回全九州学生ソフトテニス春季リーグ戦大会(団体戦)で、男女ともに1部リーグで準優勝し、第45回全日本大学ソフトテニス王座決定戦への出場権を獲得しました。男女アベックでの全国大会出場は本学ソフトテニス部史上初。さらに、男子は本大会で6位入賞という過去最高の成績を収めることができました。現在、男子の部員数は32名で、月〜土曜に本学テニスコートで練習をしています。
本学ソフトテニス部の強みは、他の学生に負けない練習意欲の高さです。学生たちは早朝から自主練をするなど、真摯に競技と向き合っており、その姿勢に私も感心しています。大学生になると競技を離れる人が多くいる中で「現状を変えたい」ともがいている姿に大きな刺激を受けています。
-今後、力を入れていきたいことは?
全国ナンバー1を目指すことはもちろんですが、それ以外にも「ソフトテニスの普及活動」にも力を入れていきたいと思っています。これまで、地域の子どもたちのスポーツでの活躍を支援することを目的に「熊本学園ジュニアソフトテニスクラブ」を開設し、地域の小中学生を対象に私や学生たちがソフトテニスの指導をしてきました。その他にも、普及イベントや講習会の開催など、ソフトテニスを始める、または続ける為の活動を行ってきました。これからもソフトテニス界全体を捉えた視点を忘れず、一人でも多くのソフトテニスプレーヤーが増え、ソフトテニスが選ばれるスポーツになるための活動を継続していきたいと思います。
-ソフトテニス部での活動を通して、生徒たちに学んでほしいことは?
私は、学生たちに「常にダブル・アクシス(二つの軸)で考えることが大事」と伝えています。その二軸とは「人間力」と「競技力」です。学生の試合を見ていると、人間力の部分が勝敗につながるシーンが多々あると感じます。例えば、我慢すべき時に我慢できない、チャレンジすべき時にチャレンジする勇気がないなど、その人が持つ考え方ややってきたことが目に見えてプレーに出てしまいます。競技者としてより成長するためには、人間力の部分と競技力を結びつけて考えることが重要なのです。また、人がやっているからやるといった考え方に疑問を持ち、あえて違うことをやってみることの大切さも学んでほしいと思っています。極端に言えば「みんなが右に行っているなら自分は左に行く」といったような勇気を持った行動をとってほしい。それは冒険的にやってみるという意味ではなく、「本当に右が正しいのか?それは自分の望む道か?」と深く考え、自分なりの根拠を持って選択しようという意味です。私が学生を指導する際に「環境と選択肢を準備する」ことを大切にしているのはそのためで、ストローク(バウンドしたボールを打つ基本的な技術)の指導一つとってみても、「こう打ちなさい」ではなく、いろいろな打ち方を示して「自分に合うものを自分で見つけなさい」と伝えます。数ある選択肢の中から自分でよく考え、根拠を持って自分で決める。そのプロセスを大事にしてほしいと思っています。
「真剣勝負」こそ道を拓く唯一の方法
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-学生時代の、今に活きる「学び」を教えてください。 「現状を変えたい」という強い想いを持って、手を抜かなければ必ず「成長」できるということです。大学時代に、そうして成長していったチームメートを見て、練習に取り組む「姿勢」の重要性を痛感しました。私が進学した早稲田大学軟式庭球部は当時、インカレ三連覇するほどの強豪で、高校でもトップレベルだった学生が多く所属していました。一方で、高校時代は目立った成績を残せず一般入試を経て入部した学生もいました。両者には当初、立場にも実力にも差がありましたが、後者が最後にその差をひっくり返す場面を何度も見てきました。「強くなりたい」と常に考えながら練習し、居残り練習にも貪欲に取り組んでいた選手は、ものすごい速度で成長していきました。「時間」と「体力」があるのが学生時代。「強くなりたい」と思って「真剣勝負」で取り組むことで、その学生の競技人生は大きく好転する可能性があります。私が大事にしたいことは、試合の勝ち負けよりも「成長できているかどうか」。心も身体も頭も全て駆使して、「真剣勝負」でプレーすることこそが「成長」につながると確信しています。 |
-若者へメッセージをお願いします。
AIが台頭し、たくさんの情報に溢れ、正解がすぐわかる時代に、正解のない問いに立ち向かう「知識」と「勇気」を身につけてほしい。自分の頭を使い、自分なりの根拠を持って自分ならではの答えを出していく。結果的にそれが間違いであってもいいと思うんです。そのプロセスにこそ、その人のアイデンティティが詰まっていて、あなたがそこにいる意味になってくると思います。間違いであった答えも、これからの成長に繋げていけば全く問題ありません。力強くあなたの人生を生きていってほしいと思います。周りからの批判を恐れず、勇気を持って選択していく若者が増えることで、熊本が、日本が、そして世界がもっともっと良くなっていってほしいと願っています。
|インタビュー日時|
(インタビュー/令和7年7月17日)



