英知・気品・剛気
―熊本学園大学付属高校の近況は。
近況としては、コロナ禍の制限が外れ、学校生活が活発になり始めています。部活動では、体操、水球、サッカー、ボート、バドミントン、野球で専属の指導者がついて強化しており、優秀な成績を収めています。それ以外の部活においても外部指導者がつき、女子テニスが県総体で団体7連覇を続けているほか、弓道では男女共に活躍し、最近では西日本高等学校弓道大会で男子団体優勝を果たすなど力を発揮しています。
本校には普通科の中高一貫コースと高校入学コースがあり、進路志望に応じて学年ごとに、理系・文系、国公立系・私立系などに分かれていきます。
学園の建学の精神として「師弟同行」「自由闊達」「全学一家」があり、さらに付属高校では、昭和38年に生徒たち同士で話し合って制定した生徒の誓「英知・気品・剛気」があります。どういう目標を立てて学校生活を過ごしていくべきかを考えたもので、「学業に精励し〝英知〟を磨く」(つまり、深く学び、新たな価値を創造すること)、「情操を陶冶し〝気品〟を高める」(温かく謙虚な心を持ち、互いを認め合うこと)、「心身を鍛練し〝剛気〟を養う」(たくましい心と体を培い、勇気を持って行動すること)、これら三要素を基調に人格の形成に努めています。
|
「深学科プログラム」で、 人生を豊かに生きる心と力を養う ―現在力を入れていることは。 大学受験の成功を目指すだけではなく、その先の人生を豊かに生きる「心」を育て、その心をはぐくむ「力」を培うための探究学習として「深学科プログラム」に取り組んでいます。1年次から自分が探究したいテーマ探しに取り組み始め、取材活動やフィールドワーク、大学訪問などを実施、3年次の最後にはプレゼンテーションを行います。 テーマも幅広く、SDGSの観点から「アレルゲンフリーのお菓子によるフードロスの解消」や、「雲の形から地形を推定する研究」、「生物に含まれるマイクロプラスティックの検出」など多彩です。 地元の製菓店や、食品会社等の企業の方々とも連携していくことで、学びを深めています。協力いただいた企業さんからも高校生の自由な発想から生まれたアイデアを聞くことができる良い機会だと好評です。また、今年からは高大連携の一環として、熊本学園大学の学長はじめ先生方の協力も得られることになりました。生徒にとって大きな経験となり、個人的に活動を継続したり、進学に生かしたり、将来へとつながっています。 ―学校生活で、学んで欲しいことは。 学力や体力も大切なことですが、社会人として生き抜く力を身に付けてもらいたいと考えています。そのためにも、人と人との触れ合いや、つながりの大切さを、学校生活を通じて学んでもらいたいと思います。 本校はまだ創立から65年と若い高校です。1期生、2期生も元気で卒業生との関係も近く、先輩として後輩を応援したいという気風が根付いています。若い学校だからこそ、縦の関係も緩やかです。ぜひこうした人間関係も役立て生き抜く力を身に付けてもらいたいと思います。 |
無駄を無駄だと思わないこと
―学生時代の、今に活きる「学び」を教えてください。
一見、無駄と思われることを無駄だと切り捨ててしまう前に、本当にそうなのか時間をおいて考えてみるということです。例えば、部活動の後片付けや挨拶、先輩からの説教を聞くことなど、初めは無駄なことだと思いがちですが、まずはやってみることだと思います。そして本当に無駄かどうかを考えることです。
私も学生時代に先輩方から飲みに連れ回され、夜遅くまで話を聞いたことなど、一見外から見れば、大変だな、無駄だろうなと思われたかもしれません。しかし、私にとって今思えば、本音で人の想いや知らない歴史のことなど色々な話を聞くことができ、後々役立ったことが沢山ありました。
本校に勤務し始めた頃、経験者でもない私が水球部の顧問を引き受けたことも、まったくゼロからのスタートでしたが、おかげで色々な人との出会いがあり、人脈が広がりました。今でも水球日本代表・塩田義法監督の恩師として声をかけられるなど、嬉しいことが数多くあります。
人とのつながりを疎まず大切にしてきたことが、結果的に無駄ではなく、プラスに働いたことの方が多かったと思います。
確かに、実際にやってみて、無駄と感じる経験もあるでしょう。しかし、その経験が本当に無駄かというと、そうではありません。無駄だったと思われる経験を通して、自分が本当に好きなことや大切にしたいことが見えてきます。失敗から学ぶ貴重な機会となります。成功体験ばかりでは得られない学びや気づきを得ることで、人生の視野を広げることができます。
乗り越えられない壁はないと思います。すぐに諦めたり、人のせいにしたりするのは、成長の妨げになります。無理に正面突破しようとせず、自分の状況に合わせて柔軟に方法を変えることも大切です。時には、回り道をすることも、休憩を取ることも、助けを求めることも必要です。
※インタビュー/2024年3月28日取材




