キャプテンをなくして
主体的に動く部活に
―そんな西高ラグビー部の特長を教えてください。
門脇
これも今年4月から始めたことですが、「キャプテン」という役職をなくしています。代わりに全体の統括者、さらに学習リーダー、健康管理リーダーといった分野ごとのリーダーを設けるなど、ある種会社のような組織にしています。
教え子たちと一緒に。右端が門脇監督。
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それというのもこれまで、特にこの時期(花園の県予選前)になるとキャプテンが大変で…プレッシャーを1人で抱え込んでしまったりですね。またリーダーそれぞれに責任を持たせることで、受け身な傾向のある部員たちがもっと主体的に活動する、そんな部にしたいという狙いもありました。前述の総体と九州大会を見た限り、その狙いは当たってきていると思います。
また専任ヘッドコーチの協力を得て、パワーポイントでグラフィカルな資料を作ったり、試合を撮影した動画を編集して見せたりと、なるべくビジュアルでポイントを共有するようにしています。と言うのも今の若者は、「見るのは得意、聞くのは苦手」な傾向があるんですね。ですからラグビー部が持つ「昔ながらの体育会系」というイメージに反して、なるべく現在の、現実に則した運営を心がけているわけです。そういった点も、ウチの特長と言えるかもしれませんね。まあ古いイメージ通り、監督はよく怒鳴っていますが…(笑)。 |
またそういう日常のことが、スポーツなどいろんなところに表れたりもするんですよ。たとえば掃除をサボる生徒は、試合でもいざという時、逃げ腰になってしまったりする。ラグビー同様「基本を大切にすること」は本当に重要なんだな、とあらためて実感します。
自分の弱さを認め
強くなろうと努力を
―学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。
門脇
私は第二高校に入学してからラグビーを始めたんですが、最初はとにかく怖かったですよ。たくさんの体と体がモロにぶつかり合うわけですから、私は今でも「ラグビーは世界一過酷なスポーツ」と思っているぐらいです。1年の終わり頃にはレギュラーになれたものの、特に強豪との試合の時は怖い、逃げたい…何度もそう思いました。
高3の花園県予選。ボールを持っているのが門脇監督。
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でもそこで、本当に逃げ続けたらダメですよね。まずは自分の弱さを認め、その上で「弱いからこそ、強くなろう」と決意し、努力し、目標に向かっていく。そのことの大切さを学びました。進学先の日体大では部員が多すぎ、数に入れてもらえないという屈辱も味わいましたが、その時もあきらめずに頑張り続け、4年時には試合に出れるようになりました。
とは言うものの実は、掃除もまともにやらないダメ学生でもありました…(笑)。そういうことの大切さって、もっと後になってようやく気づくものなんですよね。そんな時に思ったのが、「自分が後に学んだことを今の若者にきちんと伝えられたら、彼らのより良い成長、より良い人生につなげられるのではないか」ということ。大学卒業後はずっと社会人ラグビーをやっていたんですが、30歳を機に教員へと方向転換したのは、そういう思いからでした。 |