堀田 廣樹 東海大学熊本キャンパスゴルフ部 監督 【プロフィール】 1962(昭和37)年4月27日生まれ、56歳。熊本市出身。 東海第二高校(現・東海大学付属熊本星翔高校)卒、九州東海大学(現・東海大学)工学部卒。学生時代より九州代表として全国大会に参戦。県内アマチュア大会は全てタイトルを獲得しており、九州学生選手権(大学)で優勝するなど全国でもベスト10入りの常連に名を連ねる。元国体熊本代表。大学卒業から3年後、母校よりオファーを受け東海大学熊本キャンパスゴルフ部の監督に就任。以来、全日本大学対抗戦3位(団体)、同対抗戦個人優勝などの実績を重ね、国内有数の強豪へと育てている。嘉数光倫、青山香織など男女計28名のプロゴルファーも輩出。 習慣力を磨き 「強い人間」となれ |
ゴルフのための環境は 日本一と自負している ―東海大学熊本キャンパスゴルフ部の近況を教えて下さい。 堀田 部員数から言いますと現在、男性29・女性6の計35名と、年々増えている状況です。来年はさらに増える予定ですね。理由として、まずは「ゴルフをするための環境」が、とにかく充実していることが挙げられます。 月・火・金曜日が定期練習日となっており、基本は画図ゴルフ場での打ちっぱなし。しかしそれだけではなく、当部には提携しているゴルフコースが11コースもあり、しかも部員たちは、お昼以降なら無料でプレーすることができる。他の大学ならお金を払うのが普通だと思いますが、ここなら毎日でもラウンド(コース内の18ホール全てをプレーすること)を回れる、まさに「思う存分ゴルフの腕を磨ける」環境にあるというわけです。 |
高い人間性を育むことが 一番重視していること ―指導者として大切にしていることを教えて下さい。 堀田 「部員1人ひとりに向き合うこと」、これを何より大切にしています。というのも、かつてはそうではない時期がありまして…。たとえば部員を力のある順にA、B、Cに分けるとすると、ついAの子たちばかりをかまってしまっていた、ということがあるんですね。勝利のためだけならそれで良いのかもしれませんが、他の部員からすると面白くありませんし、何より彼らの成長につながらない。いち教育者として、これではいかん、と思うようになったわけです。ですから今は、実力を問わずなるべく全員に声をかけ、1人ひとりきちんと指導するようにしています。そして勝つこと、日本一になることを重視しながらも、部員1人ひとりが「高い人間性、社会性を持つこと」を最も重視しています。 |
日常的な「習慣」が ここぞという時に出る ―学生時代の、今に活きる「学び」を教えて下さい。 堀田 中学を卒業し、高校に上がる前にキャディ(ゴルファーと共にコースを回り、荷物を運んだり助言を与えたりする)のバイトをしました。それがゴルフを始めたきっかけなんですが、当初はマナーも何も知らなくてですね。おまけにけっこうやんちゃなタイプだったもので(笑)、周りの人にはたくさん迷惑をかけたことと思います。そんな自分でしたが、プロを含めいろんな方とコースを回るうちに、マナーの大切さ、他人への気配りなど様々なことを学ばせてもらいました。考えてみればほぼ丸一日、競技相手とこれほど長い時間一緒にいるスポーツってなかなかないですよね。そんな、学生時代に始めたゴルフのおかげで私は成長できた、ゴルフが私を大人にしてくれた。そう思っています。 周りに流されず 自分の頭、体で学ぼう ―座右の銘は。 堀田 ゴルフに限らずですが、「習慣力」、これは大事だなと思いますね。例えばですが、上手なゴルファーというのはいっぱいいるんです。 |
―若者へメッセージをお願いします。 堀田 今の世の中、自分が若い頃に比べてもスピードが速いな、と感じます。ちょっと前の常識があっという間に非常識になってしまったり。スポーツに限らず、何が正解なのかわからないですよね。 でも、だからこそ周りに流されず、「自分の頭で考える」ことを大切にして欲しい。誰かの言うことを鵜呑みにせず、自分の目で、耳で1つひとつ確かめ、体で学んでいって欲しいですね。そうして学んだことは、たとえ間違っていたとしても将来、きっとムダにならないと思うんです。 また今の若者の特徴として、想定外の事態に対処できない子が多いと感じます。ですが今のうちに自分自身の太い芯をつくる、そのための基礎を固めていけば、将来どんなことに直面しても乗り越えられる。そんな、まさに「強い人間」になってくれるものと期待しています。 Writer M.Yoshimitsu |