T1 park 記者
生徒さんはきびきびと行動していて自立している印象です。 早川監督 私が話をすると部長が話をまとめてくれますし、なにか問題が発生した場合でも自分たちで考えて解決しようと頑張っています。その点はとても助かっています。裏がなくて、素直な子たちばっかりです。ただ中には中学校で私の目指す方向ではない育てられ方をした生徒もいます。部活動は遊びなんだから技術を磨いたり、コンクールなんかでなくていいという考えの先生もいらっしゃいます。そうした環境で育った生徒がいるわけです。私はコンクールはひとつの目安となるものだと考えているし、自分たちが技術を磨いて団結してどこまでできるかという挑戦も音楽にはありますから。そこで食い違う生徒もいました。ただ、おかげさまで近年は北高の吹奏楽部に入りたいという意識をもって入部してくる子もいてそれは嬉しいですね。 |
T1 park 記者
それを生徒が自主的にやっているわけですね。 早川監督 そうです。先輩が後輩の面倒を見るということもできます。 挨拶や礼儀など基本的なところはもちろんですが、部活動では音楽以外の部分で教えることがいっぱいあると思うんですよ。生徒には演奏会の大小に関わらず全力を尽くせと言っています。たとえお客さんが1人でも手を抜かない。たった1人を感動させることができなければ何万人という人も感動させることはできないです。入学式や卒業式でいろいろ学校を見て回りますがお世辞にも上手ではないところがあって、でもその学校もコンクールになるとすごく上手になる。本番だけちゃんとやって普段はそうでもないというのが私は嫌なんですよ。うちはもうバッチリ演奏しますよ。何事においても気を抜くな、すべてに全力を尽くせと言っています。 |
T1 park 記者
若者へ伝えたいことは。 早川監督 可能性は無限ということです。 私は県立高校の教諭となって最初の赴任地が天草聾学校だったのですが、人生にとって非常に貴重な体験をすることができました。耳の聞こえない子たちに音楽を教えるということで最初は戸惑いもあったのですが、子供たちは全然聞こえないわけじゃなくて振動などでちゃんと音を感じているし、なにより頑張り屋さんでした。そこで先生方に協力してもらい、30名弱いる生徒ひとりひとりにマンツーマンでレッスンし器楽合奏にチャレンジしました。そうしたら子供たちが想像以上に上手でね。私が作った曲で天草郡市音楽会や本渡市音楽会に出てみたのですが会場の皆が感動していました。それが話題となってNHKから取材が来たんです。その際に一番苦労したことは何ですかと聞かれたのですが、一番つらいのはせっかく素晴らしい演奏をやっているのに本人たちはわかっていないこと。生徒は演奏が終わった後に手話で「上手だった?下手だった?」って聞くんですよ。私は涙を流しながら「とても上手だったよ」と伝えました。 |
T1 park 記者
その後赴任された荒尾高校でも吹奏楽部の指導に加え、荒尾養護学校との交流にも尽力されました。 早川監督 理解がないから偏見などが生まれるわけで交流の場さえもてばそういったものは解消されていくのです。 荒尾高校吹奏楽部でも子供たちに驚かされたことがありました。手が少し不自由な生徒がいて、ある日、部内で4人グループを組んでリコーダーのテストをやることになったのですが、私は「これはちょっと無理かなぁ」と思いました。ところが子供って大人が発想もしないことを考えるんですね。リコーダーは1つの穴を開けたり、閉じたりすることでドとソの音を出せるのですが、課題曲を自分たちで編曲して手が不自由な子がドとソで伴奏し、残りの部分はほかの子たちがカバーしている。もうびっくりしましたね。子供たちの発想はすごいなと改めて感じました。子供にはなんでも挑戦させてみて大人が無理だと判断するのは最後でいいんだということをその子たちに教えてもらいました。大人は子供たちの限界を計り知れません。子供たちの限界を大人が決めてしまってはいけないんです。子供には無限の可能性がある、これは間違いないです。 T1 park 記者 ありがとうございました。 |
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