「成り行きの未来」ではなく「意志のある未来」へ
何事も役に立たないことはない
久連松:学生時代はどのような意識で勉学に励まれましたか。
笠原:正直なところ、勉強に対して深く考えながら取り組んでいたわけではありませんが、一生懸命に努力していたことは確かです。私は、文武両道の教育を受けてきたため、勉強だけでなく体を鍛えるためにスポーツにも励みました。数学や歴史は、実生活では、役に立たないと思う人も多いかもしれません。しかし、私は役に立たないことは何もないという考えで勉強に向き合ってきました。そのため、子供の頃から勉強することは大切だという意識を自然と持っていたと思います。
大学時代は福岡正夫先生のゼミで理論経済学を学びました。内容は経済の均衡や、需要と供給、数理経済学など純粋理論が多く、一度先生に「本当に社会に出て役に立つのですか」と率直に質問したことがありました。すると先生は、「役に立たないと思うだろうが、世の中の仕組みの基礎を学ぶことはとても重要。経済学は科学でいう物理学のようなもので、基本を知らずに応用はできない。目先のことだけではなく、俯瞰的に物事を見る上で、とても役に立つ」と言われたことを覚えています。特に経営に携わるようになって、その通りだと実感しています。皆さんも大学で何のために勉強しているのかと疑問に思うこともあるかもしれませんが、何事も役に立たないことはないと思い挑戦してみてください。
大学時代は福岡正夫先生のゼミで理論経済学を学びました。内容は経済の均衡や、需要と供給、数理経済学など純粋理論が多く、一度先生に「本当に社会に出て役に立つのですか」と率直に質問したことがありました。すると先生は、「役に立たないと思うだろうが、世の中の仕組みの基礎を学ぶことはとても重要。経済学は科学でいう物理学のようなもので、基本を知らずに応用はできない。目先のことだけではなく、俯瞰的に物事を見る上で、とても役に立つ」と言われたことを覚えています。特に経営に携わるようになって、その通りだと実感しています。皆さんも大学で何のために勉強しているのかと疑問に思うこともあるかもしれませんが、何事も役に立たないことはないと思い挑戦してみてください。
本との出会いから環境問題に興味も
佐々木:学生時代、将来についてどのような考えをお持ちでしたか。
笠原:学生時代はテニスサークルに所属していて、テニスに熱中していました。当時は将来について確固たるビジョンを持っていたわけではありません。就職についても、ゼミの仲間たちが金融機関に進むことが多かったことや、父や祖父も金融機関の経営に携わっていたため、金融業界への馴染みはありましたが、初めから銀行に入ることを決めていたわけではありませんでした。一時期は医者になるという選択肢もありましたが、自分に向いていないと判断しました。幼い頃はプロ野球選手を夢見ており、中学生の頃は理科、物理、数学が好きだったこともあり、漠然と科学者になりたいと考えていた時期もありました。高校生の時に衝撃的な本との出会いがありました。1972年ローマクラブが発表した「成長の限界」という本です。この書籍では、世界が成長し続けると、地球が破滅する、と世界の科学者たちが警鐘を鳴らしていました。その内容に触れ、地球の大切さを考えさせられ、それ以来、環境問題について真剣に向き合う必要性を強く感じ、現在もその思いを持ち続けています。
平金:就職活動で、大事にされたことは。
笠原:当たり前のことですが、出会った方々の人柄や、何となく感じる波長、そしてその会社の社風など、そこから醸し出される雰囲気を感じて、「この人たちと一緒に働いてみたい」と思うかどうかを大切にしていたように思います。そうした基準で選んだ結果、間違いなかったと感じています。
平金:就職活動で、大事にされたことは。
笠原:当たり前のことですが、出会った方々の人柄や、何となく感じる波長、そしてその会社の社風など、そこから醸し出される雰囲気を感じて、「この人たちと一緒に働いてみたい」と思うかどうかを大切にしていたように思います。そうした基準で選んだ結果、間違いなかったと感じています。
「艱難汝を玉にす」逆境の時にこそ堂々と
栗原:就活を進める上で、自分の将来に不安を感じています。人生の先輩として、座右の銘など教えてください。
笠原:将来に対して不安があること自体は当然のことだと思います。経営する上でも環境は常に変化します。それが当たり前なのだと思うようにしています。将来をすべて正確に予測することはできません。「今年は、10年後はどうなりますか」とよく質問されます。しかし私は「今年を、そして10年後を、どうしたいか」と考えるようにしています。過去を変えることはできませんが、未来は自分たちの手で創るものです。「未来はどうなるか」ではなく、「未来をどうしたいか」という視点を持つことが大切だと考えます。
例えば、人口減少は予測できます。何も手を打たなければ、人口減少により生産力が低下し日本経済が縮小するという論調をよく耳にします。このように人口減少に対して何もせずに自然の流れに任せる状況を「成り行きの未来」と呼びます。しかし、DX投資などにより便利な社会を構築し、少人数でも住みやすく、高い生産性と付加価値を生み出せる社会を実現できれば、明るく希望に満ちた未来が訪れるかもしれません。これを「意志のある未来」と呼ぶことができます。つまり、将来に不安があることは事実ですが、その課題を自分たちの力で解決しようとする強い意志を持つことが大切です。
私の座右の銘は「艱難汝を玉にす」という言葉です。「困難や逆境に直面した時にこそ、「今、自分が試されているんだ」「自分が磨かれている」と前向きに受け止めることが大事です。
頭取という立場にあることで、順風満帆な人生を歩んできたと思われるかもしれませんが、実は失敗だらけの人生でもあります。過去に大きな失敗をした際、ある先輩から「得意淡然、失意泰然」という言葉を教わりました。これは絶頂の時には有頂天にならず、淡々と構え、逆に失意やどん底にいる時には、希望を持ち、堂々としていることが大切だという意味です。この二つの言葉は、逆境の時に自分を成長に導いてくれる指針となっています。
例えば、人口減少は予測できます。何も手を打たなければ、人口減少により生産力が低下し日本経済が縮小するという論調をよく耳にします。このように人口減少に対して何もせずに自然の流れに任せる状況を「成り行きの未来」と呼びます。しかし、DX投資などにより便利な社会を構築し、少人数でも住みやすく、高い生産性と付加価値を生み出せる社会を実現できれば、明るく希望に満ちた未来が訪れるかもしれません。これを「意志のある未来」と呼ぶことができます。つまり、将来に不安があることは事実ですが、その課題を自分たちの力で解決しようとする強い意志を持つことが大切です。
私の座右の銘は「艱難汝を玉にす」という言葉です。「困難や逆境に直面した時にこそ、「今、自分が試されているんだ」「自分が磨かれている」と前向きに受け止めることが大事です。
頭取という立場にあることで、順風満帆な人生を歩んできたと思われるかもしれませんが、実は失敗だらけの人生でもあります。過去に大きな失敗をした際、ある先輩から「得意淡然、失意泰然」という言葉を教わりました。これは絶頂の時には有頂天にならず、淡々と構え、逆に失意やどん底にいる時には、希望を持ち、堂々としていることが大切だという意味です。この二つの言葉は、逆境の時に自分を成長に導いてくれる指針となっています。
栗原:人生の目標は。
笠原:これまで特定の立場を目指すことを目標としたことはありませんでした。「トップになりたい」ではなく、「トップになったら何を実現したい」ということを常に大切に考えてきました。現在の目標は、ネット社会の進展によって、地方が不利な状況に追い込まれることがないように、銀行を世の中に役立つ組織へと改革し、地方にとって欠かせない存在にしていくことです。そうした取り組みを通じて、熊本がより良くなっていくことに力を注ぐことが私の目指す道だと考えます。
木下:熊本の若者にやってほしいことは。
笠原:若い世代には、これからの人生が長い分、長期的なビジョンを持ち行動してほしいと思います。学生時代はやりたいことに思いっきり打ち込むことが、将来の可能性を広げるきっかけになります。また、学生時代に出会う友人は特別な存在であり、一生の財産になります。勉強やスポーツなどあらゆることに挑戦してください。さらに、選挙権を持っているのであれば、ぜひ投票に行くべきです。政治のクオリティと国民のクオリティは連動しています。自分自身で考えて候補者を選んでください。良い意味で、積極的に政治に参加することが、未来を切り開く重要な選択につながります。
自然・文化を守ることも本業として地域の未来を創造する
栗原:銀行が地域に選ばれるために力を入れていることは。
笠原:5年前に肥後銀行は『私たちは、お客様や地域の皆様とともに、お客様の資産や事業、地域の産業や自然・文化を育て、守り、引き継ぐことで、地域の未来を創造していく為に存在しています』という存在意義(パーパス)を策定しました。ここで重要なポイントは「金融」という言葉を外し、「自然・文化」という言葉を加えたことです。私たちは単に金融業務を行うために存在しているわけではありません。お客様の資産や事業、地域の産業、そして自然や文化を未来につないでいくために役立つことすべてを、私たちの本業と位置付けています。豊かさを「経済」だけで測るならば東京には勝てません。しかし、「自然」の豊かさで測るならば、熊本は全国でトップクラスだと思います。熊本が元気であれば、私たちも元気になります。どうすれば熊本の自然、文化、経済をより良くできるかを真剣に考え、地域の未来を創造するために全力を尽くしていきます。
T1:学生さんに向けて、東京ご出身の頭取から見た熊本で働く魅力は。
笠原:東京は人が多く色々な出会いもあり面白いと思いますが、やはり、生活コストが高く、電車は混んでいます。熊本は、食についても同じ値段を出すならば、圧倒的にクオリティの高い料理を食べることができます。豊かさは経済、お金だけかと問われたならば、そうではないと思います。自然と文化を考えた場合、熊本は豊かで住みやすいと思います。

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